4月27日(4) 野生に帰った鳥女の巻*4万PV達成記念短編
縄から何とか抜け出した俺は、慌てて鳥女が入って行った建物の中──聖十字女子学園の寮食堂に辿り着く。
現場は案の定、阿鼻叫喚だった。
食堂はめちゃくちゃ荒れており、鳥女の後を追いかけた四季咲達は何故かゴミ箱の中に頭を突っ込んでいた。
今の四季咲達の状態を一言で言い表すと、"犬神家ポーズ"。
あの伝説のポーズ──水面に足だけが出ているポーズ──みたいに、彼女達もゴミ箱の中から足だけが出ていた。
……つまり、何が言いたいかというと、彼女達聖十字女子学園生徒会メンバーのパンツは丸見えな訳であって。
パンチラというより、パンモロな訳であって。
パンツ丸見えでエッチい姿をしているにも関わらず、今の彼女達は見るも無惨な──無様なポーズを披露していた。
ドン引きしてしまう。
一体、前世でどんな罪を犯したら、こんな目に遭うのだろうか。
「ちょ!そこに誰かいるんですか!?助けてください!!ゴミ箱から出れないんです!!」
尻とパンツ丸出しの状態で、俺の気配を感じ取った四季咲が、俺に助けを求める。
いつもの彼女の凛とした態度は何処に行ったのだろうか。
ちょっと可哀想になって来た。
他のメンバーの尻とパンツを見る。蜘蛛女達はピクリとも動かなかった。
……多分、意識を失っているのだろう。
「……も、もしかして、今、私の背後にいるの……神宮か……?」
四季咲が俺の気配を感じ取った。
俺は気配を断ち、四季咲の側から離れようとする。
俺は四季咲達の尻とパンツ丸出し状態に気づかなかった。
そういう設定で推し進めよう。
彼女達の名誉のために。
うん、それが紳士的行為と言っても過言ではないだろう、うん。
俺はジェントルマン、りぴーとあふたみー、俺はジェントルマン。
食堂と隣接している厨房から人の気配を感じ取る。
厨房に行くと、そこにはお腹を空かせた鳥女が、丸太を使って冷蔵庫をこじ開けようとしていた。
……何処から取り出したんだろう、あの丸太。
「そこまでだ、鳥女!」
「やっぱ、神宮じゃないか!なぜ、助けてくれないんだ!?」
「うっせぇ!エロパン女!!お前の名誉のために気づかないフリをしているんだから、黙ってろ!!」
「エロパン女ぁ!?もしかして、私、今、モロパンなのか!?モロにパンツ見えている状態なのか!?」
真実まで後一歩の所まで押し迫った四季咲を無視して、俺は鳥女と向かい合う。
鳥女は野生的な目をしていた。
どうやら言葉でどうこうできる相手じゃないらしい。
争いを避けられない事を本能的に理解した俺は右の拳を握り締める。
そして、今にも襲い掛かって来そうな鳥女と睨み合いをし始めた。
「ちょ、いるんだったら、早く私を助けなさいよ!こんな格好、SNSに上げられたら間違いなく炎上するっての!」
気絶から立ち直ったのだろうか。
蜘蛛女の声が聞こえてくる。
「自力で出ろ!エロパン2号!今、取り込み中だから!!」
「エロパン2号!?」
「取り込み中か何か知らないが、とりあえず儂らを助けてからにしてくれんかのぉ!?」
「うっせ!ウサギパンツ!!お子ちゃまパンツに発言権はない!!」
「では、私に発言権はあるのでは?」
「絆創膏は黙ってろ!お前が1番やべえんだよ!ネタにできないくらいヤバいから!!」
ゴミ箱に頭を突っ込んだ──気絶から立ち直ったであろう生徒会メンバーにツッコんでいると、鳥女が何の前触れもなく襲いかかる。
俺は右の拳を開くと、飛びついてきた彼女の身体を紙一重で躱す。
そして、彼女の無防備な右足を掴むと、ハンマー投げの要領で彼女を食堂の外に投げ飛ばした。
その後を追うように、俺は食堂の外に出す。
食堂の外には誰もいなかった。
体勢を整えた鳥女と向かい合う。
俺は右の拳を握り締めると、思わず笑みを浮かべてしまった。
「そういや、お前との喧嘩、ちゃんと白黒をつける事ができていなかったな」、
魔女騒動の時にやった鳥女との喧嘩を思い出しながら呟く。
あの時の喧嘩は彼女の自爆で終わってしまった。
俺の勝ちって言えば勝ちだが、あまり気持ち良い勝ち方じゃなかったのを思い出す。
心の中で少しだけ引っかかっていた。
だから、この思いがけない彼女との再戦につい心を踊らされてしまう。
「来いよ、鳥女。今度は白黒つけようぜ」
ここまで読んでくれた方、過去にブクマしてくれた方、評価ポイントを送ってくださった方、そして、新しくブクマしてくれた方に厚くお礼を申し上げます。
次の更新は明日の12時頃を予定しております。
4万PV記念短編は明日で終わりますが、最後までお付き合いよろしくお願い致します。




