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4月27日(2) 野生に帰った鳥女の巻*4万PV達成記念短編

 視聴覚室の窓から放り投げられた後、俺は聖十字女子学園の生徒会メンバーと共に桑原にある標高300メートルの山──太刀山に来ていた。


「ここが君の言っていた過ごしやすい山なのか?」


「ああ、そうだ。この山は猪や熊みたいな危険な動物はいない上、川もあるからな。傾斜が急な所に行かず、食べられる物をちゃんと把握できていたら、素人でも1ヶ月はここにいられる」


「……何であんたはそんなに詳しいのよ」


「何度か来た事あるからな」


「この山には何度か足を運んだんですか?」


「ああ、去年の夏休みに何度か。秘密基地を作るため、この山の中を隈なく歩き回ったぞ」


「小学生の夏休みみたいな事をやってたんじゃな」


「伊紙丸達と一緒に作った秘密基地の事も鳥女に教えてやったから、多分、鳥女はそこで寝泊りしていると思うぞ。ここにいるんならな」


「分かった、そこに案内してくれ」


「大体承知」


 四季咲の指示に従い、俺は彼女達を秘密基地がある場所に案内する。

 途中、虫に免疫がない彼女達の所為で何度か遠回りしてしまうアクシデントがあったが、何とか秘密基地のある場所に辿り着く事ができた。


「うっわ、スッゴ。かなり本格的な秘密基地じゃん」


 蜘蛛女は木の上にある小屋を見た途端、感心したような声を上げる。


「パッと見、素人が作ったようなものに見えぬのだが、お主が作ったのか?」


「いや、専門的な事は全部DIY得意な友達にやって貰った。俺は指示された通りに釘打っただけだよ」


「結構、手間かかってますよね?完成にどれくらい時間かかったんですか?」


「夏休みの4分の1以上は秘密基地に費やしたぞ。寮に帰らずに朝昼夜ずっと作業してたから、大体100時間くらいか?」


「寮に帰らないって……もしかして、君達はここで自給自足してたのか?」


「ああ、食べ物も沢山あるしな。近くに川もあったから、お盆前まではずっとここで生活していたぞ」


「お盆終わった後は何してたんですか?」


「自転車で長崎まで行った」


「あんたらの夏休み、ワイルド過ぎない?」


「前々から思ってたんじゃが、お主、人生生き急ぎ過ぎてないか?」


「てか、山とサイクリング以外に夏休みどう過ごせって言うんだよ。海?プール?夏祭り?」


「「「「避暑地に旅行」」」」


「そういや、お前らお嬢様だったな。すっかり忘れてたわ」


 閑話休題。

 夏休みの話はそこそこに俺らは鳥女の行方を捜索し始める。

 長らく使っていないにも関わらず、秘密基地の中は生活感が漂っていた。

 秘密基地の近くに比較的新しい川魚の残骸や焚き火の跡が残っていたので、何者かがここで生活しているのは明白だった。

 しかし、鳥女がここで生活しているという決定的な証拠は幾ら探しても見つける事はできなかった。


「……そういや、ここ、近くに民家とかありませんよね?」


 捜索中、何かに気がついた蛇女は俺の方を見ながら呟く。

 彼女の言いたい事を察した。

 ここにいるお嬢様を安心させるがために、俺はドン引きされる事間違いなしな上、今の時代にそぐわないセクハラ紛いの事を平然と言い放つ。


「安心しろ、蛇女。俺はお前らを襲う程、小ちゃいおっぱいに飢えていないから」


「喧嘩売ってるなら買いますわよ?」


「……あんた、そんなに大きいおっぱいが良い訳?」


 蜘蛛女は少しだけいじけながら、俺に質問を投げかける。


「ただの巨乳じゃないぞ。片手で揉んでも余るくらいの爆乳だ。金髪で外国人ならなお良し」


「では、四季咲会長が爆乳になったら、お主は手を出すのか?」


 この場において唯一金髪であり外国人の血を少なからず引いている四季咲を指差す馬女。


「いや、ないな。あいつの性格上、エッチい事は1ヶ月に1回みたいな制限つくだろうし。触れない乳なんてただの脂肪だ。エッチい事に免疫のない女に爆乳を持たせたらいけない。爆乳とは性に溺れた女が持つ事で初めて真価を発するものなんだ」


「おい、そこ、聞こえているからな」


 四季咲は心外だと言わんばかりの目で俺を睨む。


「私は恋人の頼みを蔑ろにするような人間ではないし、恋人の意思に反するようなルールを決めるつもりもない。故に私の乳はただの脂肪ではないと自負している」


「お前、その発言、結構危険だぞ。恋人に頼まれたら、どんなアブノーマルなプレイでもやるって事になるぞ、それ。いいのか?風俗嬢でさえNG案件あるんだぞ」


「アブ、ノーマル……、プレイ……?」


「蜘蛛女、この純真無垢な脳細胞を持つお嬢様にお前の性癖。教えてやってくれ」


「さり気なく私を変態扱いすんな!!」


「じゃあ、馬女」


「知る訳ないじゃろ!」


「じゃあ、蛇女」


「知っていたとしても言いません、淑女なので」


 蜘蛛女達は知っていそうな態度を取った。

 まあ、スマホが普及した現代の高校生なら、邪道と称されるプレイの存在の1つや2つ、性癖とマッチしていなくても知識として知っているのだろう。

 俺もイチャイチャプレイが好きなので、マニアックかつ邪道なプレイは、SMや痴漢プレイ・赤ちゃんプレイなど中学生でも知ってそうな奴しか知らないし。


「……なあ、蛇女。今度で良いから、四季咲に性教育施してやってくれ。あいつ、意外と性知識ない上に貞操観念ガバっているから」


「同学年の男子が頼むような案件ではないですよね、それ。普通にセクハラですわよ?純粋に気持ち悪いというか」


「俺の事は幾らでも気持ち悪がっても良い。だから、四季咲に一般常識レベルの性知識を教えてやってくれ。たとえば、思春期を迎えた男の子と一緒に寝たら危ないとか」


「……会長、そんなに貞操観念ガバってるんですか?」


 先週の人狼騒動の際、無警戒に俺をベッドに引き摺り込んだ四季咲を思い出す。


「ああ、ちょっとな。あいつ、今のうちに学校では教えてくれない最低限の性知識を身につけないと、近い将来、血気盛んな男にお持ち帰りされてしまう」


 いや、四季咲だけじゃなくて、ここにいるお嬢様全員か。

 偶々、俺がこいつら相手に劣情を抱くような人間じゃなかったから良かったものの、性欲に溺れた男だったら、間違いなく彼女達は襲われていただろう。

 近くに民家がないから、助けを呼ぶ事ができないし。

 うん、非常に危険だ。

 仮にここにいるこいつらが、金髪爆乳外国人かつエロに関してオープンなお姉ちゃんだったら、間違いなく俺はエッチい事をおっ始めていただろう。

 まあ、童貞であるため、途中でヘタレてた可能性が高いんだけど。


「神宮、唇の動きで全部筒抜けだからな」


「あ、しまった」


 四季咲はジト目で俺を睨み始めたその時、少し離れた先で、茂みが動く音が聞こえて来た。

 ナイスタイミング。このまま有耶無耶にしてやる。


「お前ら、俺の背後に隠れろ」


 何が現れても対処できるようにお嬢様達に指示を飛ばす。

 彼女達は俺の指示に大人しく従うと、俺の背後辺りに移動した。


(この気配……猿?いや、猿にしては気配が大き過ぎる。が、人間にしては動きに理性がないような……)


 中にいる何者かについて考察していると、その何者かが茂みの中から飛び出した。


「ぐるるるるる……」


 茂みの中から現れたのは野生化した鳥女だった。

 彼女は人として生きて来た過去を忘れたのか、野生の動物のような目で俺らを睨みつける。

 そして、肉食獣みたいな唸り声を上げ始めた。


「グルルル……」


 その姿を見た途端、俺は気まずそうに人差し指で頬を掻きながら目線だけ背後にいる彼女達に向ける。


「……さ、さて、鳥女も見つかった事だし、俺、帰っても良いか?」


「「「「良くない」」」」」


 ……こうして、野生化した鳥女を人間に戻すための闘いが始まった。

 いつも読んでくれている方、ここまで読んでくれた方、過去にブクマしてくれた方、評価ポイントを送ってくださった方、そして、新しくブクマしてくれた方、本当にありがとうございます。

 昨日は沢山のPVをつけて頂き、ありがとうございます。

 1話投稿しただけで2000PV超えたのは初めてなので、かなりびっくりしました。

 完結後も読んでくださる方々に、この場を借りて厚くお礼を申し上げます。

 ブクマも着実に200件に近づいているのは皆様のお陰です。

 本当にありがとうございます。

 

 ブクマ100件突破時と同じように、ブクマ200件突破した時は感謝キャンペーンをやるつもりです。

 キャンペーンの内容は現在考えている最中ですが、5万字くらいの中編を投稿する事だけは確定しています。

 一年生だった頃の司が麻薬の力で超能力者と桑原学園前理事長と闘う内容です。

 本編でちょっとだけ顔を出した桑原学園生徒会長と布留川がメインになっているので、よろしくお願い致します。

 

 最後になりますが、次の更新は明日の12時頃を予定しております。

 これからも〜万PV突破記念短編やブクマ突破記念中編などで、暫く物語が続きますが、お付き合いよろしくお願い致します。

 

 

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 厚かましいと自覚しておりますが、感想、レビュー、ブクマ、評価、お待ちしております。 小説家になろう 勝手にランキング
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