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4月27日(1) 野生に帰った鳥女の巻*4万PV達成記念短編

 一旦、話は4月20日月曜日の放課後まで遡る。

 あの日、俺──神宮司は昇降口にて日直である委員長と伊紙丸を待っていると、魔女騒動の時に知り合った鳥女と鉢合わせしてしまった。


「あ、師匠!やっと見つけた!!」


「ん?師匠って……俺の事か?」


「はい!そうです!」


 鳥女は小刻みに首を縦に動かすと、こう言った。


「僕にパルクールって奴を教えてください!!」


 そういや、魔女騒動の時にもパルクール教えてって言われたっけ。

 そんな事を思い出しながら、俺はパルクールが上達する方法を鳥女に教える。


「パルクールなら山の中に籠ってれば自然に身につくぞ」


「分かった!!」


 それが1週間前の話。

 そして、1週間後の放課後。


「悠希が行方を眩まして、約1週間。未だに彼女の行方は掴めていない」


 聖十字女子学園の臨時生徒会室──桑原学園視聴覚室を借り切っている──に呼び出された俺は、鳥女がいなくなったと聞いて、つい1週間前の事を思い出してしまった。


「……一匹狼の次は鳥女か。何で動物系の渾名の奴って行方眩ましがちなんだ?」


「いや、あんたが勝手に呼んでるだけでしょうが」


 右隣に座っていた蜘蛛女に突っ込まれる。


「お前は行方眩ましそうにないな、蜘蛛女」


「だから、蜘蛛女じゃないって。ちゃんと名前教えたよね?」


「この1週間、聖十字女子学園の生徒達に協力して貰って、悠希の行方を探したのじゃが……幾ら探しても手がかり1つ掴めなくてのう」


 左隣に座っていた馬女は溜息を吐き出しながら、頭を抱える。


「もしかしたら、誘拐されたかもしれませんね。ここまで目撃情報が出て来ないとなると」


 蛇女は視聴覚室に入りながら、不吉な事を口にする。


「神宮。毎度毎度何か起こる度に君の力を借りて心苦しいのだが、君の力が必要だ。悠希を探すため、力を貸してくれないか?」


 俺と向かい合わせに座る四季咲は深刻そうな表情を浮かべながら、俺に頭を下げる。


「大体承知、俺の力で良ければ、幾らでも貸してやるよ。四季咲には先週の件で借りがあるしな」


 そう言いながら、彼女達が掻き集めた情報に目を通す。

 ざっと目を通して分かったが、どうやら鳥女が最後に目撃されたのは4月20日月曜日の放課後、俺が"一匹狼"の家に行く前の時間帯だった。


「鳥女の件だが、俺、先週の月曜日の放課後、あいつと会ったぞ」


「何処で会ったんだ?」


「昇降口で偶然会ってな。ちょっとだけ話した」


「具体的に何を話したんですか?」


「鳥女が俺にパルクール教えてくれって頼んできたから、"山で練習するのが1番効率的だぞ"って言ってやった」


 俺の言葉を聞いた瞬間、視聴覚室の空気が凍りつく。


「……まさかとは思うんだけど……」


「いやいや、流石にそれはないじゃろ」


「確かに山なら目撃情報がなくてもおかしくは……」


「流石の悠希でも1週間山籠りするなんて無謀な事はやらないと思うのだが……」


「ん、できると思うぞ」 


 俺は彼女達が用意してくれた高級クッキーを齧りながら、四季咲の言葉を否定する。


「だって、俺が山籠りに必要な最低限の知識を教えたからな」


「「「「は?」」」」


「桑原にある安全かつ食料豊富な山の場所とか食べられるものとか火の起こし方とか山の中で生き抜くための方法とか必要最低限の事は教えたから、素人でも1ヶ月くらいなら山に篭れると思うぞ。ちゃんとメモも渡したし。最近、夜でも暖かくなってきたし、危険な場所もちゃんとメモ用紙に記録したから、上手くいけば、冬まで籠れると思……」


「「「お前の所為かああああ!!!!」」」


 高級クッキーにより油断し切っていた俺は、瞬く間に両手両足を縄で縛られてしまった。


「会長!窓開けて!こいつ窓の外に放り出すから!!」


 何処からか取り出した縄で蜘蛛女は、俺の身体を縛りつけると、四季咲に指示を飛ばす。


「蜘蛛女、人を窓の外に放り出すのは良くないと思う」


「お主は3階から落としても死なんじゃろ!」


「流石の俺でも両手両足縛られた状態で落とされたら死ぬよ、多分」


 地面に組み敷かれた俺の頭を踏んづけようとする馬女の脚を躱しながら、俺は反論の声を上げる。


「かなり余裕感じられますから、落としても傷1つつかないでしょう。さあ、四季咲会長、窓を開けてください!この諸悪の根源に然るべき罰を与えましょう!!」


「いや、流石に簀巻き状態の人を3階から落とすのは非人道的過ぎる」 


 唯一、まともな常識を持ち合わせている四季咲は首を横に振る。


「彼への罰は後にしよう。もしかしたら、山に籠っていないかもしれないからな。今は彼を解放してやってくれ」


「……四季咲」


 つい反射的に四季咲の方を見る。

 偶々寝転がっていた場所がベストアングルであったため、彼女のスカートの中をガッツリ見てしまった。


「お前、かなり派手な下着履いてんのな。そんなエッチい下着、エッチい動画でしか見た事ねぇぞ」


「………」


「あ、すまん!見上げたらついパンティーが見えてしまってな!決して意識して覗いた訳じゃないから!あ、ちょっ、無言で持ち上げるの止めろ!怖いから!窓を開けるな!俺を窓の外に放り出そうと反動をつけるな!!話し合おう!話せば分かる!人は対話できる素晴らしい生き物だ……ぎゃあああああ!!!」


 これは人狼騒動が終わった後──4月27日のお話。


 本編を最後まで読んでくれた方、お久しぶりです。

 本編が終わると同時に大量の評価ポイントを頂きました。

 評価ポイントを送ってくださった方、本当にありがとうございます。

 厚く厚くお礼を申し上げます。

 本日5月7日から5月11日まで4万PV達成記念短編を毎日1話ずつ更新していくので、お付き合いよろしくお願いします。

 更新時間はいつものように12時頃を予定しております。

 全5話という短いですが、5月11日まで毎日更新していきますのでよろしくお願い致します。



 皆様が読んでくれているお陰で、なんとこの作品の総PV数が10万PV突破する事ができました。

 この場を借りて厚くお礼を申し上げます。

 本編は終わりましたが、これからも〜万PV達成記念短編を不定期的にあげていくので、もう暫くお付き合いお願い致します。


 更新する予定の〜万PV達成記念短編タイトル一覧は以下の通りです。

 4万PV「野生に帰った鳥女」の巻

 5万PV「土管にハマった四季咲」の巻

 6万PV「司、プールで溺れる」の巻

 7万PV「1年生時の司と小鳥遊」の巻

 8万PV「4月31日序」

 9万PV「4月31日破」

 10万PV「4月31日急」


 後日、タイトルが変わるかもしれませんが、今のところはこの題名で書き進めています。

 基本的に本編でやり残した事を中心に書いていく予定なので、よろしくお願い致します。

 

 また、皆様のお陰でこの作品のブクマが180件を超える事ができました。

 本当にありがとうございます。

 ブクマ100件超えた時にやったキャンペーンみたいにブクマ200件超えた時もキャンペーンをやるつもりなので、もしブクマ200件突破した時はよろしくお願い致します。


 次の更新は明日の12時頃を予定しております。

 もう暫くだけお付き合いよろしくお願い致します。

 

 

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 厚かましいと自覚しておりますが、感想、レビュー、ブクマ、評価、お待ちしております。 小説家になろう 勝手にランキング
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