4月26日(6) 蛇足でしかない後日談の巻
その後、俺と小鳥遊弟は特に言葉を交わす事なく、現地で解散した。
送って行くと言ったが、彼は"病院に戻らないといけないから"という理由で遠慮した。
どうやら彼は今、入院した母親と一緒の部屋で寝泊まりしているらしい。
俺は小鳥遊の背後姿が見えなくなるまで見送った後、再び寮に向かって歩き始める。
寮に着いたのは日が落ちた後の事だった。
ちょうど晩飯の時間だったため、俺は寮に設置されている食堂に向かう。
そこには委員長と伊紙丸、ツインテール娘に布留川がいた。
「あ、ツカサンやん。帰って来たっつー事は、小鳥遊さんは無事やったんやな」
「で、小鳥遊一家に何が起きた訳?散々協力したんだから、それくらい聞かせなさいよね」
「魔導士達の人狼狩りに巻き込まれていた。だから、俺は小鳥遊一家含む人狼達を助けるために、世界一の魔術師と喧嘩して来た」
「なんや、ツカサン。とうとう頭がいかれたんか?」
「そんな雑な作り話で私が釣れるとでも?さっさと本当の事を話しなさい。じゃないと、あんたのデザート食べるわよ」
「委員長。俺のデザート食べたら、あんたを八つ裂きにするからな。冗談でも言葉を選んだ方が良いぞ」
"本当の事なのに"と思いながら、俺は食堂のカウンターに置かれている自分の飯を取りに行こうとする。
「神宮」
布留川は箸を置くと、俺に質問を投げかける。
「今、不良達の間に寮長の学生時代のコスプレ写真が出回っているが、……アレ、お前が元凶なのか?」
「ああ、そうだぞ。何としてでも情報が欲しかったかな」
そういや、魔導士達の目撃情報を探るため、東雲市にいる不良に協力を仰いだような気がする。
そして、情報提供のために寮長の写真をあげたような覚えがある。
「写真が出回っている件、寮長、把握しているぞ」
その事実を聞いた途端、俺の背筋は凍りつく。
「そういや、あんた、寮長の自転車、勝手に持ち出したでしょ?寮長、めちゃくちゃ怒っていたわよ」
「あと、寮長が大事に取っておいたおやつを食べた事も怒っていたで」
ダラダラと脂汗が額から流れ始める。
居ても立っても居られなくなった俺は、大慌てで食堂から飛び出した。
うん、寮長の怒りが冷めるまで、どっか避難しておこう。
勿論、当てはないんだけど。
そう思いながら、俺は靴を置いている玄関の方へ向かう。
廊下を走っている途中、中庭のど真ん中に俺が欲しがっているダッチワイフ付きエロ本が、鎮座している事に気づいた。
俺は躊躇う事なく、中庭側の窓を開けると、何も考えずに、エロ本に向かって飛びついてしまう。
しかし、エロ本を掴もうとした途端、俺の身体は地面に減り込んでしまった。
それにより、自分が落とし穴にかかった事を瞬時に把握する。
罠自体に敵意も殺意もなかったため、俺の身体は呆気なく穴の中に落ちてしまった。
「え!?ウソ!?こんなアホみたいな罠にかかっちゃったの!?俺!?」
「じ〜ん〜ぐ〜うぅううううううう!!!!」
言葉が通じない勢いで、寮長は殺意と怒気を漏らしながら、寮長は穴の中に落ちた俺を見下ろす。
どうやら俺が色々やらかし過ぎた所為で、寮長はキャパオーバーしているらしい。
俺は"3回連続寮長エンドは芸ねぇんじゃねえの?"と思いながら、寮長に精一杯の誠意を見せようと謝罪の言葉を口にする。
「──めんご☆」
「シャアアアアア!!!!」
ルールを破ったらいけない。
人の嫌がる事をしたらいけない。
そんな誰もが知っている事を進んでやるようなお調子者の末路なんてこれ以上、語るまでもないだろう。
俺の断末魔が藍色になりかけている夕空に響き渡る。
因果応報。
良い事をしたら巡り巡って自分に返ってくるように、悪い事をしても巡り巡って自分に返ってくるのだ。
「ちょ、生き埋めはマジでヤバいって……!ぷべっ!土が口と目に入った!!!!ちょ、本気で埋めてんの!?俺、土に還っちゃうの!?えと、ちょ、……あの、本当の本当にごめんなさいいいいいいい!!!!」
いつも読んでくれている方、ここまで読んでくれた方、そして、過去にブクマしてくださった方、評価ポイントを送ってくださった方に感謝の言葉を申し上げます。
今回投稿した話で急章人狼騒動編はお終いです。
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。
次の更新は20時頃に予定しております。
よろしくお願い致します。




