4月23日(20)VS絶対善/赤竜の咆哮vs白竜の顎の巻き
(頼むから受け切ってくれよ……!!)
そう願いながら、俺は右の籠手を前に突き出す。
その瞬間、右の籠手は膨張を始めた。
膨張した鉄の塊は生き物のように轟くと、瞬きしている間に俺の視界を埋め尽くす。
肥大化した鉄の塊は、空に向かって伸びていくと、白雷を発しながら、俺が想像していたのとは細部が違うが、竜を模した姿に変貌していく。
「■■■■■■………!!!!」
圧縮言語が赤黒いドラゴンの口から出た途端、ドラゴンの口から高密度の光線が放出される。
ガイア神が放ったものよりも凄まじい破壊力を秘めた赤光が、闇夜を切り裂く。
「いっけえええええええ!!!!」
迫り来る光線。
俺は白い竜と化した右の籠手で受け止めようと試みる。
全長30メートル級の竜と化した籠手は、俺の声と呼応するかのように咆哮を上げると、口を大きく開ける事で雷の牙を露出した。
竜と化した籠手は飛んできた高密度の光線に噛みつくと、口に入れた光線を噛み潰そうとする。
巨大化したお陰なのか、籠手の状態よりも早いスピードで噛み付いた光線を白雷に変換していく。
その所為で俺の体力は光線を受ける度に、光線を白雷に変換する度に削れていった。
体力には自信がある方だ。
フルマラソンだって余裕で完走できるし、三日三晩寝ずに喧嘩した事があっても息を切らした事はない。
にも関わらず、竜と化した籠手の力を使う度に、肺の中の酸素がなくなっていく。
身体に多大な負荷がかかってしまう。
立っているだけで辛くなる。
息をするだけで激痛が走る。
全身の骨から嫌な音が聞こえて来る。
どうやら籠手を竜の形に変えると身体にかなりの負荷がかかるらしい。
今はギリギリの所で耐えているが、もしこれが長引けば、俺の体力は完全に尽きてしまう。
(くそ……考えが浅はかだったか……)
疲労と酸素不足の所為で、俺の視界が霞み始める。
意識が徐々に薄れてしまう。
足に力が入らなくなった瞬間、俺は左膝を砂浜につけてしまう。
すると、背後から甲高い声が聞こえて来た。
四季咲だ。
彼女は心配そうな声で俺の名前を呼び続けている。
小鳥遊弟も何かを叫んでいた。
薄れゆく意識の中、背後にいる彼等の存在を思い出した俺は、彼等を守るため、もう一度立ち上がる。
──そして、俺は覚悟を決めた。
「うおおおおおおおおお!!!!」
「■■■■■■■■■■!!!!」
竜と化した籠手が"絶対善"の放つ赤黒い光線を白雷に変換していくにつれ、世界は白と赤の眩い光に包まれてしまう。
激しい閃光によって眩む視界。
俺の身体は強烈な爆風を浴びると、世界は眩い赤光と白光に包まれてしまった。
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