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4月22日(1) 蜂の巣ベッド……?の巻

「……寝過ごした」


 高級ベッドの魔力に勝てなかった俺は、上半身だけを起き上がらせると、周囲を見渡す。

 何故か、四季咲は俺と同じベッドで寝ていた。

 俺も彼女も衣服に乱れはない。

 どうやら超健全な夜を過ごしたみたいだ。


「…………」


 四季咲に全く異性として意識されていないという男として屈辱的な気持ちに陥りながら、隣で幸せそうな顔をして眠り続ける彼女を起こさないよう、こっそりベッドから抜け出す。

 …………ま、まあ、俺も四季咲の事を異性として見ていないからお相子だ。

 いや、異性として見られていない事を抜きにしても、彼女の危機感のなさは問題だ。

 今後、男は危険だという事を教えて差し上げなければ。

 じゃないと、近い将来、ヤンチャな男にお持ち帰りされてしまう。

 欠伸を浮かべながら、ベッドルームから出る。

 そして、時計──針は午前6時過ぎを指している──を視界に入れた俺は、溜息を吐き出した。


(本当は夜の間に探しに行こうと思っていたんだけどなぁ……)


 現在進行形で小鳥遊一家含む人狼達が追われている以上、呑気に寝ている場合じゃない。

 筈なのに、俺は高級ベッドの魔力に吸い寄せられ、ぐっすり眠ってしまった。

 何の夢を見たのかさえ覚えていない。

 なんか変なやつが夢に出てきたような、夢の中で複雑な気持ちを抱いたような。 

 うまく思い出せない。

 が、寝ていた事だけは不変の事実として残り続けた。

 自分の心の弱さを呪う。

 もし俺が寝ている間に取り返しのつかない事が起きたらと思うと、寝た事を後悔し続けるだろう。

 まあ、でも、俺が小鳥遊弟から離れている間に、魔導師達がこの部屋に押しかけていたという可能性も考えられるため、俺がここにいたのは無駄ではなかったと思う。


「あ、……お兄ちゃん、起きたんだ」


 パソコンの画面と向き合っている──東雲市在住のヤンキーから貰った"一匹狼"と魔導士の目撃情報を精査している──と、起きたばかりの美鈴が俺に話しかけて来た。


「ああ、おはよう。よく眠れたか?」


「うん、この世にはあんなフカフカな寝具があるんだね。金郷教の時は蜂の巣みたいに木組みの3階建てられただけのベッドの上にすし詰めにされていたから、それと比べると格段に良かったよ」


 美鈴はサラッと自分の重い過去を口に出す。

 何だよ、蜂の巣みたいなベッドって。

 あれを模したような寝床で寝起きしていたのか、金郷教信徒(おまえら)は。


「ねえ、お兄ちゃん。この辺りの地図、今見る事できる?」


「一応、見る事はできるが……」


 俺は"アースマップ"と呼ばれる日本全国の衛星写真を閲覧することができるサイトを開いた。


「これ、印刷できる?」


「あー、どうかな。四季咲に聞いてみないと。これを何に使うんだ?」


「人気のない路地を探そうと思って。闇雲に魔力探知するよりも、ある程度魔導士と人狼が潜んでいる所を予測して探知した方が効率的だと思って」


「それならある程度、予測は立てられている」


 俺は昨日委員長から聞いた情報をまとめた用紙を美鈴に見せつける。


「こ、これ……一体、何処で聞いて来たの……?」


「クラスメイトと知り合いのヤンキーから集めた情報だ。彼等の情報によると、小鳥遊姉は東雲市中央区と南区で目撃されていて、魔導士と思わしきアルファ民族は中央区、南区、早良区の西神で目撃されている。で、昨日、小鳥遊姉は新神から少し離れた所にある篠島で目撃されたようだ。篠島は新神の近くにあるにも関わらず、再開発が進んでおらず、不良やならず者が屯しやすい場所らしい」


「す、……凄い……!たった一晩でそこまで調べあげるなんて……!!」


「もっと褒めても良いんだぞ」


 ドヤりながら、俺は自分の胸を大いに張り上げる。


「でも、よく考えたら、凄いのはお兄ちゃんの知り合いでお兄ちゃん自身じゃないよね」


「くそ、バレたか!!」


 俺が思っているよりも美鈴は聡い子どもらしい。


「けど、お兄ちゃんがいなかったら、この情報は集まらなかったし。お兄ちゃんも十分凄いと思うよ」


「そうだろ、そうだろ。もっと俺の事を褒めても良いんだぞ」


「うん、お姉ちゃんがお兄ちゃんを褒めたらいけないって言っていたの、よく分かったような気がするよ」


「まあ、誰の功績かという話は置いといて。今日の予定だ。今日は篠島周辺と喜多駅周辺を中心に聞き込み調査を行う。もし何もなかったら、早良区にある西神へ。それでいいか?」


「だいたいしょうち」


 それから四季咲と小鳥遊弟が起き上がるまで、俺は美鈴と共にパソコンの画面に表示されている地図を見ながら、"人払いの魔術"を使えそうな場所を探し続けた。

 どうやら美鈴は金郷教にいた時、魔法や魔術の事をある程度教わっていたらしい。

 彼女の知識は俺にとって非常に有益なものだった。

 ……言っている内容の殆どを理解できなかったけど。

 大体の場所の候補──篠島商店街跡・嘉多駅から少し離れた所にある予備校跡──が出そう頃、四季咲がベッドルームから出てきた。

 振り返った美鈴は四季咲の姿を目で捉える。

 四季咲の姿を見た瞬間、美鈴は目と口を大きく見開いた。

 いつも読んでくれている方、、ここまで読んでくれた方、過去にブクマしてくれた方、評価ポイント送ってくださった方に厚くお礼を申し上げます。

 先日は皆さんのお陰で1日のPV数が過去最多の2000PVを超える事ができました。

 皆さんが読んでくれているお陰です。

 本当にありがとうございます。

 これからもブクマ100件突破・完結目指して毎日更新致しますのでよろしくお願い致します。


 また、本日の更新は13時頃にも予定しております。

 13時更新分は昨日のような短編ではなく、ちゃんと本編です。

 13時更新分もよろしくお願い致します。

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 厚かましいと自覚しておりますが、感想、レビュー、ブクマ、評価、お待ちしております。 小説家になろう 勝手にランキング
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