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4月21日(2) 小鳥遊の行方の巻


「もしかして、誰か近づいているのか?」


 小鳥遊弟は首を縦に振った。

 美鈴の方を見る。

 彼女は"私に聞かれても分からないよ"と言いたげに全力で首を横に振っていた。

 どうやら小鳥遊弟は俺達よりも人の気配を察知する能力に長けているらしい。

 少し怯えている彼に俺は声を掛ける。


「そんなに怯えなくても大丈夫だ。敵意を感じないから、多分、寮長辺りだろう。よし、逃げるか」


「いや、逃げる必要はない」


 自転車置き場にやって来た人影に視線を送る。

 案の定、俺らの前に現れたのは身長190センチオーバーの大男、布留川君だった。


「あの人はこないだの……」


 今月頭に布留川と遭遇した事がある美鈴は少し驚きながら、俺の方に近寄って来た彼を見上げる。


「よお、布留川。こんな深夜に何の用だ?」


「こっちの台詞だ。お前こそ何をやっている?」


「世界一の魔術師と喧嘩しに行こうとしている」


 どうせ本当の事を言っても信じないと思ったので、今から自分がやろうとしている事を赤裸々に公言する。


「その子らを連れて、か?」


 しかし、俺の予想と違って、布留川は俺の話を鵜呑みにしてしまった。


「本当はお前らに預ける予定だったけど、喧嘩相手にこいつらの顔バレちまってな。……ていうか、何でお前は俺の魔法使い発言をノータイムで信じているんだよ。アホか、お前は」


「そりゃあ鬼がいるんだ。魔法使いや超能力者がいてもおかしくないだろ」


 トンチンカンな事を言い始めた布留川。

 俺は溜息を吐き出すと、彼に現実を突きつけた。

「布留川、この世界に魔法使いはいても超能力者はいないんだ」


 美鈴と小鳥遊弟が物凄い形相を浮かべると俺の方を見る。

 それに構う事なく、俺は淡々と彼に現実を突きつけた。


「テレビで紹介されている超能力者がやる超能力は種も仕掛けもあるトリックで本物じゃないんだよ」


「いや、でも、お前、以前……」


「そりゃあ、俺も美鈴や小鳥遊弟くらいの頃は超能力者がいるって信じていたさ。けど、そんなのいないって事をエスパー衣ノ上が教えてくれた。エスパー衣ノ上が超能力にはタネも仕掛けもある事を教えてくれたんだ。だから、布留川。超能力者の正体はマジシャンなんだよ。世の中にいる超能力者は、マジシャンが超能力者っぽく振る舞っているだけなんだよ」


「いや、お前、はんと……」


「いい加減、目を覚ませ布留川。お前が如何に純真だろうが、この世界に超能力者はいないのは事実なんだよ!!」


「一旦、落ち着け」


 布留川は俺の頭に結構重めのチョップをお見舞いする。

 不意打ちされた俺は小さい断末魔を口から溢してしまった。


「超能力に関しては、一旦保留にして……神宮、委員長達からの伝言だ。小鳥遊は今東雲市にいるらしい。今日の16時、東雲市の新神駅前で委員長の友達が小鳥遊を見たんだと。あと、伊紙丸の親戚からの話によると、一昨日、小鳥遊は東雲市にある大箸駅から徒歩10分の所にあるネカフェで寝泊りしていたらしい。断言はできないが、恐らく小鳥遊はこのネカフェの系列店を廻っているんだと推測する。この紙に小鳥遊が寝泊りしていた店の名前と住所が書いてある。参考にして欲しい」


 そう言いながら、布留川は俺に紙を押し付ける。


「サンキュー。じゃ、委員長達に小鳥遊一家が警察に言えないような事件に巻き込まれている事、俺が小鳥遊弟を確保した事、そして、これ以上、この事件に首を突っ込まないように言ってくれ。あとは俺が何とかするから。ああ、あと、寮長には暫く帰って来れない事と自転車勝手に借りる事を伝えておいてくれ。……ああ、言い忘れていた。布留川、明日から俺の代わりにお嬢様達を守ってくれないか?勿論、あの着ぐるみを着た状態で。ああ、あと、美鈴の家にいる亀の世話をしといてくれ。こいつの家の場所は寮長が知っているだろうから、細かい所は寮長に聞いてくれ。あと……」


「俺はお前のパシリじゃねぇぞ」


 布留川は不機嫌そうに俺を睨みつける。


「まあ、事情が事情だ。今回は素直に引き受けよう。その代わり、お前がいない間に出される食後のデザートは全部俺が貰うからな」


「速攻で帰って来てやる。明日のプリンは誰にもやらねぇ」


「じゃあ、さっさと帰って来るんだな」


 布留川は必要最低限の事を俺に伝えると、その場から離れる。

 俺は去りゆく彼の後ろ姿に手を振ると今後の方針を美鈴と小鳥遊弟に伝えた。


「とりあえず、天牌山に行った後、小鳥遊がいるであろう東雲市に行くか。さ、夜明けまで残り6時間。ちゃちゃっと終わらせるか」


「お兄ちゃん、『magcia』の魔導師甘く見過ぎじゃないの!?6時間で全員倒せる訳ないじゃん!」


「甘く見て……いや、甘く見るのはあいつらの方だ」


 "はあ?何言ってんだ、こいつ?"という表情で俺の顔を覗き込む小鳥遊弟を視認する。


「教えてやるよ、小鳥遊弟。本当に恐ろしいのは百獣の王(かくうえ)なんかじゃない。歯牙にも掛けられないような子羊(かくした)だって事をな」




 いつも読んでくれている方、ここまで追ってくれた方、本当にありがとうございます。

 そして、新しくブックマークしてくれた方、過去にブクマしてくれた方に厚くお礼を申し上げます。

 みなさんがブックマークしてくれたお陰でこの作品のブクマ数が50件超えました。

 まさかここまでブクマが伸びるとは思ってなかったので、今朝は踊り狂いそうになるくらい嬉しい思いに浸っておりました。

 本当にありがとうございます。

 こんなに嬉しい思いができるとは投稿開始した時は思いもしませんでした。

 本当に本当にありがとうございます。

 達成できるか分かりませんが、今度はブクマ100件目指して頑張っていきたいと思っています。

 これからも応援よろしくお願い致します。


 あと、この場を借りてもう一つ報告をさせて頂きます。

 本日、ツイッターにて雑談用の垢(@norito8989)を作りました。

 今までの垢(@Yomogi89892)は宣伝ツイートやお礼リツイート塗れだったのですが、新しく作った(@norito8989)では個人的な呟きをしていきたいと思っております。

 本編や後書きでは書けなかった「価値あるものに花束を」の裏側や新連載の情報、制作したGIF動画や落書きなどを載せていきたいと思いますので、もしよろしければ(@norito8989)の垢を一度覗いてください。

 これからも引き続きよろしくお願い致します。



 

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 厚かましいと自覚しておりますが、感想、レビュー、ブクマ、評価、お待ちしております。 小説家になろう 勝手にランキング
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