4月20日(4) 小鳥遊の家に行こうの巻
放課後、聖十字女子学園の生徒達を何とか1日守り切った俺は自分の教室に荷物を取りに戻る。
教室に入った途端、俺に待ち受けていたのは険しい顔をした委員長と委員長の友達ツインテール娘、そして、伊紙丸だった。
「神宮、これから小鳥遊さんの家に行くわよ」
「たかなし……って、確か"一匹狼"の事だよな?何で彼女の家に今から行くんだ?」
同じクラスであり、この辺りで有名な不良"一匹狼"小鳥遊神奈子の顔を思い浮かべる。
そういや、最近彼女と会っていないような気がする。
「どうやら、その小鳥遊ってヤンキー、1週間近く学校に来てないらしいねん」
伊紙丸は言葉足らずの委員長をさり気なくフォローしながら、俺に事情を話す。
「あー、言われてみれば、この1週間、あいつと顔合わせていなかったな」
最後に小鳥遊と会った時の事を思い出す。
確か彼女と最後に会ったのは2週間前の木曜日だったような気がする。
確か隣町のコンビニで働いている彼女と遭遇したようなしなかったような。
新神で美鈴と買い物している時に会ったような会っていないような。
「噂によると、小鳥遊さん、何かしらの事件に巻き込まれているらしくてね。本当かどうか分からないけど、そういう噂が流れている以上、クラス委員として見過ごす訳にはいかないわ。だから、神宮。その噂が本当かどうか今から確かめに行くわよ」
「大体承知。んじゃ、皆んなで仲良く"一匹狼"の家に行くか」
こうして、俺と伊紙丸、そして、ツインテール娘は一旦寮に戻る事なく、小鳥遊の家へと直行する。
小鳥遊の家は桑原駅から徒歩30分離れた所──桑原町と隣接している一本松町にあった。
「へえ、この辺りにこんな立派なマンションがあったんだな」
都会にある建物と同じくらい立派かつ豪華な5階建てマンションを眺めながら、素直な感想を漏らす。
マンションは新品みたいにピカピカしていた。
「神宮さん、知らないんですか?このマンション、去年の夏くらいに建ったんですよ。つまり、まだ生後1年も満たしていないんです」
今まで存在感がなかった委員長の友達かつ伊紙丸の幼馴染み──ツインテール娘は小鳥遊が住んでいるマンションの情報を俺に教える。
「そーいや、ツカサン。小鳥遊って去年の秋くらいに桑原学園に転校してきたっけ?」
「知る訳ねぇだろ、去年別のクラスだったし」
「え?小鳥遊と仲良かったんちゃうんか?ツカサン、目合わせる度に小鳥遊に喧嘩売られてたやないか」
「仲良かったら殴り合いの喧嘩なんてしねえよ。あいつの名前知ったのも、つい最近の事だし」
俺は小鳥遊について何も知らない。
唯一知っているのは、彼女の腕っ節の強さくらいだ。
それ以外、彼女の事は何も知らない。
それくらい俺と彼女の繋がりは薄いのだ。
「けど、神宮さんと小鳥遊さんは仲良い方だと思いますよ。小鳥遊さん、先生と神宮さん以外の人とは一切話しませんから」
ツインテール娘はここぞとばかりに存在感を発揮する。
「ツインテール娘は去年小鳥遊と同じクラスだったのか?」
「はい。話した事はありませんが、小鳥遊さんの事は目で追ってました」
えへんと少しだけ偉そうに胸を張るツインテール娘。
久し振りに感じる小動物系女子の雰囲気に思わず癒されてしまう。
「じゃあ、これは比較的あいつと仲が良いあんたの役目よね」
そう言いながら、委員長は俺にプリントの束を押し付ける。
「委員長、これは何だ?」
「先生から預かった彼女のプリントよ。あんたが手渡しなさい。あと、部屋の番号は305号室だから」
有無を言わさず、委員長はマンションのエントランスに設置されているインターホン前まで俺の身体を押し始める。
「だから、俺はあいつと仲良くないって。委員長が手渡せよ。喧嘩売られるから、俺はあいつと顔合わせたくないっての」
「それでも、この中で1番面識があるのはあんたでしょう?それともプリント渡す事ができないくらい、あんたはチェリーボーイな訳?」
委員長の煽り言葉についムカッとしてしまう。
誰が童貞だ。
確かに俺は女性との性的交流はまだ致していないが、そこら辺の童貞と一緒にされては困る。
何故なら、俺はエロ本やネットに転がるエロス動画によって、ちゃんと予習を行っているのだから。
「舐めんなよ、委員長!俺レベルの玄人童貞にとって女の子にプリントの1枚2枚渡す程度、朝飯前だ!!」
玄関のエントランスに設置されている集合玄関機のボタンを勢い良く押した俺は305号室の住民を呼び出す。
が、幾ら呼び出しボタンを連打しても、小鳥遊家の住民は出て来なかった。
「出てこんへんな。みんな外出したんやろうか」
伊紙丸は首を傾げながら、委員長と俺を交互に見る。
「仕方ないわね、家族の人が帰ってくるまで、近くのコンビニで時間潰しましょうか。2〜3時間待っとけば、誰か帰って来るでしょう」
委員長は欠伸を浮かべると、俺らを連れて、近くのコンビニに行こうとする。
「えー、ワイら、2〜3時間待たなきゃいけんの?んな事なら、ワイ、一旦寮に戻りたいんやが」
「たっちゃん、我儘言わないの。ほら、コンビニで好きなお菓子奢ってやるからさ」
俺達はマンションから離れようとする。
俺は何も考えずにエントランスに隣接している郵便受けの方を見てしまった。
(何でこんな所にこれが……?)
──郵便受けには見覚えのある魔法陣が貼られていた。
この場を借りて、新しくブックマークしてくれた方、ここまで読んでくれた方、そして、いつも読んでくれている方に厚くお礼申し上げます。
本当にありがとうございます。
PVもブクマも想定以上に伸びていて、毎日小躍りするくらい喜んでいます。
もう皆様に足を向けて寝れません。
本当に本当にありがとうございます。
次の更新は本日15時頃に予定しております。
引き続きよろしくお願い致します。




