プロローグ[人狼騒動編]
俺──神宮司が"一匹狼"小鳥遊神奈子に出会ったのは、まだ暑さが残る去年の秋の事だった。
その日、俺は友人から教えて貰った男用の性玩具を買うため、都会の街を彷徨っていると、不良を襲っている彼女と遭遇してしまった。
ここで勘違いされないように、改めて言わせてもらうが、彼女が不良を襲っていたのではない。
ましては彼女が仲間を引き連れて、たった1人の不良をボコボコにしていたのではない。
彼女はたった1人で十数人くらいの男性を一方的にボコボコにしていたのだ。
そして、俺は彼女ではなく、一方的にボコボコにされていた男達の命を助けるために、彼女に喧嘩を売った。
それが彼女との最初の出会い。
この時、俺は小鳥遊神奈子に手加減を加える事ができなかった。
人間の領域を優に超えた彼女の鋭い蹴りに怯えた俺は自分の命を守るために、本気の一撃で彼女を気絶させてしまった。
それが俺と彼女との長きに渡る因縁の始まり。
あの時、つい反射的にやってしまった身勝手で独りよがりな自己防衛がきっかけで、俺は彼女と目を合わせる度に喧嘩を売られるようになったのだ。
──気づく機会は幾らでもあった。
もしも、俺が固定観念に囚われていなかったら、"魔族"という存在を認知していたら、小鳥遊神奈子が"人間"ではない事実に気づく事ができただろう。
もっと早いタイミングで彼女達を襲う世界一の魔術師"絶対善"と接触できただろう。
──卯月も終わりかけていたある春の日の夜。
俺は世界一の魔術師と喧嘩する事になる。
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