人間なんてクソだ
ずっと投稿しようか迷っていたある種曰く付きの作品です。一応一話あたりの文字数は少なめですので、気軽に読めると思いますが、どうか温かな目で見守ってくださると嬉しいです。
「それでさ……」
「へぇ‼ そうなんだ‼」
うるさい。
「よかったら宮野さんも一緒にどう?」
「う~ん。どうしようかな?」
悩んでんじゃねぇよ。さっさと答え出せよ。そして永遠に黙ってろ。僕の安眠を妨害するな。それ以前に僕の近くで会話をするな。
「星宮君はどう思う?」
「……」
星宮? 誰だそいつ? 僕のクラスにそんな奴いたか?
「もしも~し。星宮く~ん?」
「……」
あ、そうだ。そうだ。星宮って僕の事だった。自分に他人が話しかける可能性なんてすっかり失念したから全く気が付かなかった。いやぁ。困ったなぁ。
……まあ嘘なんだけど。本当は面倒くさいから関わり合いたくなかっただけ。第一人間関係って面倒じゃないか。
自分の意見を押し殺し、他人に合わせこびへつらう。そんな関係僕はごめんだね。そんな事している暇があるなら僕は寝る。
寝ることはとても素晴らしい。何も考えなくていいし、何より人間の声を聴かないですむのが一番いい。人間の声は僕から言わせれば耳障りで、不快なノイズと何ら変わりない。
「無視は悲しい……かな」
「……」
無視が悲しいなら話しかけてくるんじゃない。僕は一人がいいんだ。大体貴様みたいな人類皆友達みたいに思っている女と関わると絶対碌なことにはならない。何より僕はこういうタイプの女が世界で一番嫌いだ。
「お前何様だよ‼ 折角宮野さんが話しかけてくれてるのに‼」
ああ、もう。うるさいなぁ……こいつは一体何なんだ? このクソ女の彼氏か? 彼氏ならきちんと手綱握ってろよ。じゃないとそのうち他人にとられるぞ。それにしたって気にいらない。
「黙れよ」
「開口一番それかよ。ふざけるのもいい加減に……」
「ふざけてるのはそっちだろう。どうして僕の意志をお前が決める権利があるんだ?」
「は? お前何言ってんだ?」
「……馬鹿の相手は疲れる」
「おい‼ 馬鹿ってどういう事だよ‼」
「そのままの意味だ。お前みたいな奴がいるから僕は人間が嫌いなんだよ。わかったら黙ってろ。そして僕の前から消え失せろ」
「こ、この……‼」
「なんだ? 殴らないのか? まあ殴れないよな? もしここで殴ったら明らかに問題だもんな」
「……っ‼」
この男……名前は忘れたが顔だけはやけに整っているイケメン君は、周りからの評判をとても気にするタイプの男だ。
その為周りの評判と言ってやればすぐに黙る。学校の成績は良いようだができるのは勉強だけの様で、おつむの方はあまりよくないらしく、性格も短気で傲慢。僕の世界で二番目に嫌いとする少年だ。
「塩川君‼ 暴力はダメだよ‼」
「み、宮野さんがそういうのなら……」
「女の言葉一つで拳を下すのか。情けない奴だな」
「星宮君‼」
「なんだよ。事実だろう?」
「……もういいよ。宮野さん。行こう」
「で、でも……」
「さっさと消え失せろよ。お前も目障りなことには変わらないんだからさ」
「……わかった」
全く。ここまでしないと離れないあたりあの女……とても面倒だ。それに元はと言えばあの女が僕に話を振るのが悪い。どうしてあの場面で僕に話を振る。二人で仲よく惨めななれ合いをしていればいいじゃないか。
ああ、気持ち悪。思いだすだけでも反吐が出る。人間との会話は家族以外では久しぶりの事だったけど、やっぱり気持ちが悪い。あんなものを平然とできる奴らはどうかしているのではないか。
「やぁやぁ星宮君。今日も機嫌が悪そうだね」
また面倒なのが来た……
「ああ、たった今お前のせいで余計機嫌が悪くなったよ」
「うわぁ酷い。私には絹漉小百合というそれはそれは可愛らしい名前が……」
「お前の名前を憶えて僕に何らかのメリットがあるのか?」
「そうだね……私の事がまた一歩知れ……」
「死ね」
「うわぁ~ん。酷い~」
本当は全くそんな事思ってない癖に。白々しい。
「ねぇねぇ。星宮君。今日私の家に遊……」
「一億万回死ね」
「うん。無理」
「……チッ」
「舌打ちしないでよ~私これでも美少女……」
「貴様が美人かどうかなんてどうでもいい。今、僕の要求は唯一つ。黙って僕の前から消えろ。それだけだ」
「うん。それも無理」
「じゃあお前は何ができるんだ?」
「う~ん。そうだね……あ、星宮君の彼……ってちょっと待ってそんなゴミみたいな眼で見るの止めて!?」
「……」
「何か言ってよ!?」
こいつと話すだけ無駄だ。むしろ話していたら向こうのペースに乗せられ、無駄にエネルギーを消費せねばらなくなる。こんな時は黙るのが一番だ。そしてそのまま眠ってしまうと尚よし。
「星宮く~ん‼ 起きてよ~‼ 星宮君~」
「………………………………」