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『呪われたネットゲーム』あらすじ

 ネットで話題になっているFPSのネトゲ。

 プレイ動画などがアップされ、数々の霊障が起こるという。

 開発会社が潰れているのに誰が運営しているのか不明という噂も。

 クチコミ効果を狙ったマーケティング。FPSに偽装したホラーゲーム。ネットの大方の見方はそんな感じだ。

 しかしかなり緻密に作られているらしく、ネットでは考察Wikiまで作られて議論が進んでいる。

 語り手である主人公は興味本意でアクセスする。

 舞台はアフリカらしき密林。グラフィックのリアルさ、軍事考証の変態的なこだわり、自然や動体力学を知悉した物理エンジンに驚く主人公。適当にアサルトライフルを乱射すると木は木屑を飛ばして銃痕が空き、地面は抉れて土埃が上がった。

 ただのホラーゲームでここまで作り込むだろうかと疑問が過る。

 件の心霊スポットはマップ中央にポツンと建つ一軒家。

 外界から隔離された場所にあり、畑や家畜小屋も併設されている。

 そこには黒人の家族の亡霊が目撃されており、子供は全身まっ白のアルビノだった。

 考察Wikiによると、ヴードゥー教ではアルビノの子供を食べると魔力が得られるとかいう迷信があり、その子供を守るために家族は人里はなれた場所に暮らしているのではないかという。

 父親らしき太った巨漢の男が襲ってきたり、呪具に囲まれた母親が呪詞を詠唱する姿を目撃。試しに撃ってみても弾丸はすり抜けるだけ。

 初めは余裕そうな主人公だが、部屋の中で突然ラップ音がしたりと不安になってくる。

 そこにエリック・シアーズという人物がログインして話しかけてくる。

 「私は元特殊部隊の人間で国のために汚い戦争を行ってきた。その経験を活かし訓練用ゲームの考証を担当し、ゲーム開発にのめり込んでいった。除隊後もプロパガンダのためにゲーム制作会社を興し、軍の援助のもとでFPSを作ってきた。子供達を戦争の虜にして、特に優秀だったものに目を付けてあらゆるルートから軍に入るように誘導することが目的だった。ネトゲの治安は最悪で、ボイスチャットは暴言の嵐だろ? あれは兵士から良心を奪い、平気で人を殺せるメンタリティを育て上げるための洗脳の一環だ。『フルメタルジャケット』でハートマン軍曹がやっていたあれだよ。軍隊に入る前から一流の人殺しとしての人格を作り上げようというわけだ。マスコミの抱いているコンピューターゲームへの危機感を利用して煽れば、売れないクズみたいなコメディアンや、人を罵ることしか能がないラッパー志望のゴロツキどもなどの工作員を使って、勝手に連中がやってくれるんだよ。要するにああいう芸能は、ブサイクでモテないし能力も低い人間や、貧困のドン底にある被差別階級というショービズ界では無価値な連中を、汚れ仕事のために買い叩くために創出したでっち上げのポストなんだね。成功できるのは最初から出来レースに乗っかってるごく一部の人間だけなのにな。それがいつからだって? テレビゲームとインターネットが出来た最初からだよ! 当たり前だろう。彼らは業界人なんだ。一般の人間が新しいメディアを知るより先に、自分たちの潜在的脅威に気付くのは当然の事だろう? 八十年代にはとっくのとうに、ゲームやインターネットに熱中する人間を貶めるための映画やドラマにニュース番組が作られてたんだからな。

 さて、このゲームは私の実体験を再現したもので、最も不可解だった任務に関するものだ。私は某国でアルビノの子供とその家族の抹殺を命じられた。理由は一切説明されなかった。ただ世界と人類の敵であり、生かしておくわけにはいかないとだけ言われた。私は任務を遂行した。それは一生の凝りとして心に残り、一日としてこの悪夢にうなされない日はなかった。制作会社でゲームを作っていたあるとき、私はついに決心してこの記憶をゲームの中に再現することにした。私は取り憑かれたように仕事に没頭すると、奇妙なことが起こり始めた。まるでゲームの中で作ったキャラクターに亡霊が宿ったかのように勝手に動き始め、私の周囲でも不幸が重なり……」

 背後に視線を感じた主人公が振り返ると、そこにはアルビノの少年が立っていた。

 後日エリック・シアーズについて検索してみると、元海兵隊大尉で除隊後にゲーム開発会社の役員だった同名の人物が自殺していたことが分かる。

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