ぷろろーぐ!
試験片の採取木材が方向によって性質が異なるように、金属材料やプラスチック材料もまた異方性を示すことが多い。
図1-1は金属鋳塊のマクロ組織(肉眼的に識別できる組織)であるが、凝固にさいしての結晶の成長の様子を示している。
一般に結晶と結晶の境(結晶粒界)は脆弱であるので,試験片の中で結晶粒界がどの方向に存在するかによって機械的性質が異なる.
この結晶粒界には一般に不純物が濃縮されているが,鍛錬によってこれが引き伸ばされ,図1-2に示すような繊維組織ができる.
この場合,繊維方向の引張りには強く,直角方向には弱いことが多い顕微鏡で見ることができる,
いわゆるミクロ組織のほかに,冷間加工された金属材料では原子の配列,つまり結晶格子が一定の向きに優先的にそろっている場合がある.
これを集合組織という.
結晶体はその向きによって性質が異なるので,集合組織をもつ材料は異方性を示す図1-3は円板を絞ってコップを作ったとき不の様子を示すが,方向によって変形能が異なるために耳ができる
ここに示した例のほか図1-3 円板の深絞にも,材料が異方性を示す原因は種々あるので,試験片の採取方向によってその機械的性質が大いに異なることが多い.
とくに変形および破断特性は組織敏感性を示すので注意を要する。
接試験片を切り取って試験をする場合には,品物における最大応力のかかり方と,その部分の組織とを考慮に入れて試験片を切り出さなければならない。