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死期を見る

作者: 峙玲 Soirée
掲載日:2018/05/20

彼からの視線が、気配でわかる。

私を気にしていることがわかる。

でも、彼の寿命は短いとわかる。

付き合ってしまったら悲しくなる。

彼に少しでも揺らいでしまったら、私は悲しむ事になる。

彼の寿命は後半年。

半年後には彼はもういない。

高校2年生に進級した春のことでした。

1年生の時から彼が私を好きなんだというのは知っていました。

彼は2年生になっても私を好きでいてくれました。

でも、私は付き合いたいとは思いませんでした。だってその頃から彼は寿命が1年しかないって知っていたから。

私は告白してくれる男子と必ず付き合いました。

軽い女だと思ってくれていたでしょうか。

軽い女だと、誰もが思ったでしょう。

でも、私は絶対に自分の体は触らせない。

キスですらさせない。

ガードはシッカリしているつもりでした。

彼はそんな私を好きでいてくれました。

彼はそこそこかっこよくて、明るくて、クラスのムードメーカーでした。

ちょっと変わってる所もありました。

私はほんのちょっとそんな彼に惹かれてました。

彼と話すのは楽しいのです。

彼はいつも笑っているのです。

彼は、女子から人気がありました。

彼は男子とも、仲良く、フレンドリーなんです。

でも、寿命はあと半年。

彼はもう、長くないのです。

彼は私に何度も告白しようとしてました。でも、私には彼氏がいると知っているから、彼は私に告白もできず、ただ、諦めていました。

鈍感な振りも大変なものです。

彼の寿命が5ヶ月になりました。

彼はその頃から学校を休みがちになりました。

彼は休みつつも明るい元気な姿を見せようとしてました。

彼の寿命が4ヶ月になりました。

彼の休む頻度は高くなりました。

それでも彼は明るい笑顔を保ち続けました。

ある日、彼と二人きりになりました。

私は、思わず聞いてしまいました。

「なんで、寿命が短いのに、明るく元気な姿でいようと思うの?」

「皆との記憶は楽しい方がいいだろ……?」

寂しそうな、諦めたような、そんな微妙な笑みを彼は浮かべた。

彼の寿命が3か月になりました。

彼の休みは長期間になりました。

彼は誰も居ないところで一人苦しんでいたのを私は知っています。

病気の苦しさを隠して、彼は学校に来ていました。

彼の寿命が2か月になりました。

彼はもう、学校に来ていません。

彼は病院にずっといます。

私は彼から直接病院の場所と部屋を教えられました。

私は週に1回は見舞いに行きました。

彼の寿命は1か月になりました。

眠っている時間が長くなりました。

たまたま起きているときに話をしました。

「何かクラスの人に伝えたいことはありますか?」

「ないよ。しいて言うなら、誰も、葬式に来ないで欲しいってことくらいかな。君は別だけどね」

「わかりました。みんなと一緒にお葬式に行きますね」

「最後にお願い、かな。ハグとキスをしてもらえませんか?」

「最後なら、私はこれからお見舞いに来なくなりますよ」

「うーん……じゃあ、死ぬ間際でいいかな。とか言って、寿命は多分明後日とかそんなもんなんじゃないかな。だからこれが最後だね」

「いいえ、あなたはまだ2週間生きれますよ」

「何で分かるの?」

「わかるからわかるとしか言いようがないです」

「そっか。ねえ、本当に最後にお願い聞いてもらえないかな」

「そうですね。来週ならいいですよ。来週が一番あなたの体調的にも。来週、病院を抜け出しましょう。デート、なんてどうでしょう?」

「いい、と思う。よかった」


私は彼に少しだけ嘘をついた。

彼が生きていられるのは来週まで。2週間なんて嘘だ。

それでも、私は彼に嘘をつく。

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