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優視点 商業ギルド・荒波の雫です-4

『……幼馴染の名前は……ハニーフェン、ジゴロ、シュガーだ。俺が斧使いとして前線で闘っていて、ハニーフェンは魔術師、ジゴロは僧侶、シュガーは弓使いとして闘っていた。結構イケているパーティでな、【荒波の牙】と名乗っていたもんよ。……まぁ、同じ日に結成された【磯風の妖精】には負けていたんだがな……。』


おじさんはそう話ながら薬指に嵌めている指輪を見ながら続けていました。ただ、パーティ名はギルドに登録された訳では無く、あくまで自称だったらしいです。


『ただ、俺達はある時に有名なクラン{シャーク・アギト}のクランマスター、リーマンに話しかけられた。クランに入ってくれないかってな。』

「そ、それでとうされたんですか?」

『他の3人は普通にその誘いに乗っていたんだが……俺は何かと怪しいと感じたんだよ。話がうますぎるってな。だから俺は断ったんだ。別にクランに入っても俺達は同じパーティでいられると自惚れていたのかもしれないな。だが結果として俺達は別れる事になったんだよ。』


その時のおじさんの顔はとてつも無く暗かったです。その顔を見て私は何か辛いことがあったのだなと感付きました。ただ、その事をおじさんに伝えることは出来ませんでしたけどね……。


『ギルドに入った3人は扱き使われていたんだよ。よくよく考えればすぐに気づける筈だったんだ。{シャーク・アギト}は設立した当初は有望なクランだった。しかし3代目クランマスターのリーマンの時代になると設立時代のメンバーはおらず、メンバーに憧れるだけ憧れて鍛錬を怠っていた奴等しかいなかった訳だ。』

「……成る程、年期が経つにつれて弱体化していたけれど、威光はまだ残っていたと。」

『そうだな。そして酷使された3人は他のクランと連盟を組んで行った〔クラーケン〕殲滅戦で命を落とした。他のクランのメンバーにも死者が出たが、{シャーク・アギト}の死者はこの3人だけだった。ちなみに、殲滅戦で倒すはずだった数が2000に対し、実際に狩る事が出来たのは僅か4体。そしてその4体に3人以外の{シャーク・アギト}メンバーは一撃も入れることが出来ていないんだ。』


その後、おじさんの顔が般若の様に歪んでいた。握った拳からはビキビキと音が鳴り響き、足下の床も少しだけめり込んでいました。


『……元々この連盟で{シャーク・アギト}の連中は参加した事で名誉をある程度返上できると思っていたんだろうが……過去の威光に縋りつきすぎた結果がこれだ。もうどうにもならない所まで堕ちているにも関わらず……【磯風の妖精】のメンバーをクランに入れようとしたんだよ。それはもう悪質な手立てだったよ。』


おじさんがそう話しているとこのギルドの2階から誰かが降りてくる音が聞こえてきました。……指輪をしている事もあるのでおじさんの奥さんなのでしょうか?と思いながら私はおじさんの話を聞いていました。


『リーマンの言う強みが「殲滅戦での生存者が多い」なんてのについては苛立ったぜ。アイツ等が多く生存したのはあの3人に戦闘を丸投げしたからだ。それなのに誇らしげに話すことに呆れた俺は……リーマンを殴り飛ばしたんだ。その時のアイツの顔ったらなぁぶふぉ!』

『アンタ!そんな若い嬢ちゃんに恥ずかしい馴れ初めを言うんじゃ無いよ!しっかしこのままだと嬢ちゃんにはとても言えないアレやソレの話も出てくる所だったよ全くこの人ったら……。』


おじさんの話を中断する様に出てきた赤い髪にエルフの様な鋭く長い耳をしたお姉さんが私を見てまた顔を赤くしながらおじさんを叱りつけ、私には少し待っていてねというジェスチャーをするのを私は呆然とみているしかありませんでした。

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