優視点 商業ギルド・荒波の雫です-3
結果的にはあれ2つで1500Gで売れました。……まぁ、あれはお姉さんがドングリ柄の栞を私物化するからとやや高めに買ってくれたので高くなっただけなので、実際には800Gくらいでしか売れないという事が分かります。……それでも栞にする前に皮を半分にしているので一応元は取れているんですよね……と思う私なのでした。
「……しかしこのスペースって有料にしないんですか?」
『したらしたで文句言われるからやらないんだよ。このスペースは道具の貸し出しとかはやっていないからな。料理とかも全て自分で出さないと行けない分人気は無いんだよ。まぁ、このギルドに来た奴も少ないんだけどな。』
「……そうなんですか。」
『まぁ、道具をレンタルしたかったら{貸し部屋店}に行く方が良いだろうよ。あそこは問題さえ起こさなかったらタダで使えるからな。』
おじさんの言う問題とは以下の様な感じらしいです。まぁ、確かに普通にしていれば起きない問題なのでしょう……。
・部屋を全壊する
・貸し出し品の破損
・貸し出し品の窃盗
・生産以外の用途での使用(拷問等)
・後片付けの不足
・他の客に対する悪質な態度
簡単にまとめるとこんな感じらしいです。これを破ってしまった場合は罰金として全財産の半分は確実に持って行かれるとおじさんは話していました。まぁ、一番最後の悪質な勧誘については何処でも問題になるそうです。
『とある噂話では「自分達はβテストで優秀だったから」という理由をつけて嫌がる新人プレイヤーを何度も勧誘したという例が残っているんだ。実際勧誘というか、クランに入りますか?という申請は断られても何回も送れる様になっていた時代には厄介な物でしか無かったらしいからな。中にはPVPだと嘘を付いて入れさせた例も残っている。』
「……過去のVRMMOにはそんな事があったんですね……」
『あくまで噂話だがな。クランやギルドに無理に勧誘するという行為は誰にでも御法度だ。やるとしても誠心誠意真面目に勧誘する事だな。自分達は優秀!とか貴方はこのクランにこそ相応しい!とか考えているとあっという間に誰も入らなくなるぞ。』
なぜおじさんがそんな事を熱弁しているかと思っていると、おじさんは昔話を始めました。それはこのギルド、{荒波の雫}が出来るよりも前の事らしかったです。……まぁ、ここは最近出来たギルドだと言われてましたしね……。
『おじさんがまだ冒険者をやっていた頃……3人ほど幼馴染がいたんだよ。まぁ、全員男なんだけどな……。』
興味深そうな、いやそれ程でも無いような……と思いながら私は何か報酬があるかもしれないと思いながら話を聞いてみるのでした。




