澪視点 常識は越えられません-2
「………なぁティア。」
「なんですか?私に勝つために彼氏を紹介しろというのは無しでお願いします。親友に迷惑が掛かりますので。」
「いや、そんなんじゃないんだが……。後親友と最近会ってない様な雰囲気も出しているが。」
「まぁ、たまには連絡取ってますけどね。ただ、彼女と話すと……その……何というか……抑えきれなくなる様な言葉を言われるので。」
ティアのそんな言葉を聞いた私は、恐らく彼氏のいる所へと向かわせる様な事でからかわれる事があるのだろうと感じていた。……まぁ、ティアもその彼氏も離れて浮気はしないだろうが、近付けば止まらなくなるタイプの恋愛なのだろう……。ただ、そう話すティアが少し羨ましくなりながらも私は話題を変えた。
「……しかし、ティアに勝つにはどれだけの時間が掛かるのやら……。その内ティアを公式で倒したパーティくらいは出そうだよなぁ……。」
「そうなって欲しいですが、流石にそんな事は起こらないと思いますよ。最低でも引き分けには持っていきますから。……ただ、今回のPVPで【吸血】の事をすっかり忘れていた事に気付きましたよ。あれ使えば私のアーツ潰しの時に反撃に持ち込めたのに……。」
「………いや、これ絶対に誰も勝てない奴だな。キナさんが一勝したので終わりそうだ。」
そんな風に軽く話していた私とティアはいつになれば公式の場でティアが……イベント最強キャラのFが負けるかという事を話していた。……だがしかし、それはVWがVROを人工AIに管理を任せて新たなVRMMOの開発を始めるまでの5年間の間、誰も現れなかった。引き分けにしたプレイヤーも私やティアの彼氏などの身内プレイヤー……というよりは始まりの町からの裏ルートを攻略してきた者達がなんとか為し得たくらいだ。
ただ、段々とパワーインフレを続けてきたこのゲームは一部のプレイヤーを残して新たなゲームへと移ることとなる。ただ、その舞台となるのは10年後にVWが発表した新たなるVRMMO〖Over World On-line〗……通称OWOというオープンワールド系の新世界だ。
「………そういえばティアは子供の名前とかはもう話しあっているのか?」
「………まだ。話すと欲しくなって飛んでいくと思うから。」
「そうか。まぁ、相談したくなったら私を頼れ。少なくともデイブラックに相談すると同じ名前付けられるだろうからな……。」
「なんとなく想像できますね……。」
ただ、今の私にはそんな未来が来る事を知らないまま、ティアと時々話の邪魔に来たレイドボスを供に吹き飛ばしながら話していくのだった。
次話からはOWO編となります。これは新章というよりは新シリーズ的な位置づけになりますが別作品とせずにこの枠のまま連載します。いきなりこの様な事をしてしまい本当に申し訳無いと思っています。
OWO編では暗雨達の子供達が主人公であり、作品タイトルや作品情報と違う!となりますが、そこはある程度進めてから編集し直すと思います。
ここまでVRO編を生暖かい目で読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。よろしければ次話から設定やキャラ情報を一部引き継いだ形で始まるOWO編も読んで貰えると嬉しいです。




