澪視点 真城家への訪問-3
「小梅さんと暁美ねぇの間にそんな事があったんだなぁ~。」
「まぁ、当時はどちらかというと守る側の人間だったからな……雪奈さんと暗雨が頭角を露わにするまでは。」
「……それについては同感。」
その事で充分落ち込んでいるのが小学校当時から分かるんだよなぁ……。雪奈さんは妹と言えないほど優秀だし、暗雨に関しては多少は守っていたつもりだろうが半殺し事件の時は結局暗雨が自力で解決したような物な訳だし。それに雫と私が今日まで面識が無い事を考えると雫の世話というか守っていたのは暗雨だろうからな……。
「まぁ、最初の出会い編はそこまでだな。その後はお互いが私に相談してきたから上手くコントロールして引き合わせたんだよ。ただ、記念日プレゼントとか記念日企画とかは面倒だったぞ。最終的に従兄弟の友人がアイツの親友ポジだったから協力してどうにかしてきたんだよ。記念日の間隔がとにかく短いからかなり苦労したぞ………。」
ただ、恋愛に協力した者同士で惹かれ合うなんて事は無かった。これはお互いが2人の幸せだけを願っている時に成立する物であり、私達の様に失恋されると面倒になるからって事で協力し合っていたのだ。つまり恋なんて産まれない。産まれたのは供に戦場を乗り切った後の気怠い感情のみである。
実際2人が恋人になった後も彼共々巻きこまれているので普通に友情が芽生えそうになっている。しかし気怠い感情からはそれで関係は止まる……というかそれで良いように思えてくる。実際2人で付き合いだした後、苦労させられた2人に入らぬお節介を入れられてブチ切れてしまう可能性もあるからだ。
「………まぁ、この恋愛関連の出来事の中で一番面倒だったのは偶然に偶然が重なった感じで有耶無耶になりそうだった恋人になってくれという告白だな。またの名をプロポーズとも言うが。」
2人で誓いの場所となる高台へと向かう途中に当時の小学校校長と出会い、その後にちょっかいを掛けようとした元同級生達が警察に連れて行かれたり、当時の担任の親族がナイフ持って襲いかかってきたのを黒衣となった私達で撃退したり……その他覚えてもいないような知り合い達に次々と遭遇してプロポーズ成功どころか破局しそうだったが………なんとか2人はプロポーズを成功させたのであった。
「……当時の担任の親族に襲われるって……よく撃退できたな。」
「…一応戦闘の基礎は現実でも心得ているからな。ただ彼は普通に闘っていたのを考えるとそこそこ強いんだろうな。」
その言葉の後、どこかでくしゃみをする音が聞こえたが……多分空耳だろうと思いながら私は暗雨が作り終えた牛タンカレーを見て子供のように目を輝かせるのだった。




