暗雨視点 過労とメイドの二重奏-1
あれから暫くして、お互いの時間が取れた私達は雪ねぇに色々と話を聞くことにした。ちなみに今は麻理紗と父さんが研究に関して語り合い、それを母さんと雫が書き留めている所だ。で、暁美ねぇは風呂である。なのでこうして話す事が出来たのだった。
「……いや、定時で帰ろうとするから激務になるんだよ。残業で数時間残るよりも合理的じゃない。」
「そう言えるのは雪ねぇだけだと思う。普通は残業で翌日まで残っても終わらないでしょあのVRMMOの数だと。」
「1番辛いのはイラストの二人だから……。私も各方面手伝っているけどこの二人を手伝うことが1番多いかな?段々と絵も描けるようになってきたしね。」
雪ねぇは元々下手の横好きいらぬお世話というレベルでは無く、プロのアシスタントやら神絵師レベルだったのでそれ以上上になると漫画家になってもやっていけるんじゃね?と思える伏もある。まぁ、実際にやっているのは背景辺りの創作らしい……というのもラノベだと余程の事が無い限り背景は手抜き……というよりは資料不足な感じになる。それを作者から話を聞いてVRMMOの中で組み立てているのというのでもう何も言えそうに無くなってしまった。
「……とゆーかなんで定時に帰る事に拘るのさ?」
「残業せずに行けば虎春のバイト先に行けるからです。そこで癒やされて帰ってきています。他のメンバーがいたら直帰ルートだけど。ただ、最近給料明細を見たら失神するんだけど何か心当たり無いかな?」
「それ確実に稼ぎまくっている証拠だと思う。1000PVで1円というレートでも軽くその位は稼ぎそうだったけどさ……。」
そう言われて給与明細を見たところ、確かに失神したくもなる。父さんの時は技術の独占等をしなかった事から目眩はしない程の給料に収まっている。ただ、雪ねぇの場合は開拓者であるたけでなく責任者でもある。その為にドバドバと稼ぎが雪ねぇの給料に入ってくるのだろう。ついでに言うとこの給与は雪ねぇだけという訳では無い。責任者である雪ねぇよりは少ないが他のメンバーも多額の給与が出たらしく、下手すると他の誰かに刺されそうになっていた。
「とゆーか刺され掛けた人はいたかな……。まぁ、私が制止したけどね。あの時の暗雨を止めるよりは遙かに楽だったし。」
「まぁ、雪ねぇも生徒会で忙しかったからって事で出てないだけで大会に出ていればそれなりの成績は残せていただろうしね…。」
私がそう呟いた後、なぜそんな事があっても平然としていられるのかと雪ねぇを見つめた。ただ雪ねぇは私のそんな気持ちを気にせずにメイド喫茶でやっている事を話し始めた。……ただその中に何故営業やら経営とかのワードが出てくるんだろうね?と呆れてしまうのだった。




