暗雨視点 PVPのお詫び-4
それから暫くの間、私はミスティーにお詫びの為に作った菓子を次々と出す事になった。途中で〖アンチDP〗の者が提携しているクランに連絡して見学者が増えたものの、ミスティーは気にしていない。参考にしようとスクショや【鑑定】が不十分なまま食べきられてしまい項垂れる者が多くても気にしていなかった。
ちなみに私は別にプロ並みの実力とかでは無い。一応料理と平行して上達していってはいるのだが……後の義父母となる者達の実力には追いつけていない。あの人達はケーキ関連になるととんでもない程の作品を当たり前の様に安値で売り出す。その為リピーターが絶えないのだ。別に高級な物を使っている訳では無い。素材の味を最大限に活かしているだけなのだから関係ないのだ。
「……次にミルフィーユ、その次にクレープ、しょっぱい物として作り置きの煎餅を挟んでから1ホールケーキの連打、マカロンと来てからのシュークリーム……で、今はラングドシャか……。ネタ的に作ったから包装取らないと行けない分時間掛かっているな……。」
ラングドシャは〇〇の恋人という派生の多い物が多いのでそれに合わせて味に合わせて色々と作ってみたのだ。なんとかペースダウンに成功した物の、段々とコツを掴んだのか包装を剥がして食べる速度が徐々に速くなっていく。
「………しかし都道府県ネタが終わったからってVRO内のネタ等にしなくても良かったような気がするけどなぁ……。それに微妙に味を変えているのもバレてるし……。」
実際食べている間に材料の違いを全て言い当てるのは恐ろしいなと考えてしまう。糖尿病等に気をつけていればいずれ食レポで大活躍だった様に思える。まぁ、現実の彼女を見たことが無いから言えるのだろうけどね………。
「……しかしこうして見るとプレイし始めた頃に敵対したとは思えないなぁ、レイア。」
「あれは彼の行動が原因ですね。今はβ版の武器を無くした事かは消極的になっています。もっとも実力としてはダンジョンのボス部屋には辿り着けたらしいですよ?呆気なく負けたらしいですけどね。……ったくなぜあんなのの世話役にされたんでしょうかね……。まぁ、そのおかげで現実でも美味しい物が食べられるので良いのですが……。」
レイアはそう言ったがたまにミスティーの昔話を聞く事があるらしい。その中で今は亡き名店の味を鮮明に説明されて悔しいと感じてしまう事があるようです。……いや、本当に彼女は食レポやるタレント向いてたんじゃないかと思いながら私はパンプキンパイを取り出すのだった。




