暗雨視点 PVPのお詫び-2
勝手にケーキなどを食べ始めた性悪弁護士ことマオンを無視して私はお詫びとして持っていく菓子の材料費を揃えるために私はレイドボスのいるフィールドへと転移する。取り敢えず倒しやすいレイドボスモンスターである《アシッドフローグレル》という巨大なカエルに何発か踵落としを喰らわせる事でHPを0にする簡単なお仕事をしてドロップアイテムをすぐさま売り払うという事を繰り返した。ちなみに《アシッドフローグレル》は【猛毒耐性】があれば弱点である目に攻撃を与え続けるだけで倒せる様なカモモンスターで、私とは別フィールドだけれどもソロでの討伐が報告されているしね。
そんな感じで材料を揃えた私は色々と菓子を作成していく。まぁ、現実だと魔法による時間短縮等は出来ないのでより効率を意識しているが今回は取り敢えず味に重点を置いて作ってみる。まぁ、途中でつまみ食いをしようとマオンが来るので遠慮無く吹っ飛ばすのに1番神経を使ったかもしれない。
「……じゃあそろそろ向かうとするか。マオン、案内頼む。」
「分かりました。では【転移】してしまいましょう。」
性悪弁護士が言い終える前に景色が一瞬にして変わっており、〖アンチDP〗のクランハウス前に立っていた。ちなみに私の姿もティアでは無くFとなっており、いつの間にアカウントを変更されたのかと思えたが……なんとなくマリンのドヤ顔が目に浮かんだのでそういう事なのだろうと納得して私はマオンと供にクランハウスへと入るのだった。
「……あの、その……私もあんな戦法してすみませんでした!でも、勝てると……このままなら勝てると思っちゃったんです!」
マオンが事前に話していたのかミスティーは私が来る事を知っていたのだろうと思う。だがしかし、扉を開けた瞬間に土下座は止めて欲しかった。ついでに言うと【弾幕変身】で白狼と言えるキャラに変身しているので余計にそう思えたのだった。
「…………。」
「……そ、それは……で、でも……。」
取り敢えず私はお詫びの為に1ホールのケーキを取りだした。それを見てミスティーはおやつの前で待てをさせられている犬のようになっていた。【弾幕変身】で犬っぽい尻尾を出しているので余計にそう見えてくる。普通ならば犬では無く狼だというテンプレがあると思ったのだが今回はそれは無い。ただ、私がした謝罪に関してはちゃんと聞いて貰えたらしい。……しかし持っている菓子は全て出さないと許さないとは言ってきたのだけどね……。




