暗雨視点 アカイワの獣道-1
『アカイワ村』に向かうためにリグルの西門についた私は、自分がチュートリアルロードから出て来た場所を探す。すると、西門の左側………やや南門寄りの場所が少しグニャグニャとしていた。
「……………確か、初めてここに来たときには周りと同じ重厚感があったはずなんだけど………」
私はそう考えながら『アカイワ村通行許可の札』の説明を見る。すると、これを持っていると通れなかった場所が渦巻状に歪み、通った後は普通の道に見えるようになるという。もっとも、この札が無い人にはただの道にしか見えないらしいのだけど。
なぜか私は某有名ファンタジー小説の駅を思い出していた。二作目以外はちゃんと使えてたんだよなぁ…………と、私は一作目の主人公の心境のように歪んでいる場所に歩く。
…………すると、普通に通れたのだった。いや、そうじゃなかったら『アカイワ村通行許可の札』の効力が詐欺ということになってしまう。とりあえずマップの情報を見ると、『アカイワの獣道』と表示されていた。
西門は森、南門は岩場だからか、この獣道は森を切り開いて出来ているはずなのにも関わらず、足場は岩で出来ていた。ダメージは無いのだけど私の足袋なので痛いのだ。このクエストが終わったら草鞋でも健康サンダルでも良いから靴を買おう………そう思う私であった。
靴というアクセサリーは防具によって自動的に用意されているのだけど、足袋だとは痛い時がある。泥とかで汚れないという仕様は有り難いけどね………。
そう思いながら獣道を進んでいく。獣道という名前の通り、幅が狭い。そのためか、モンスターに一度も遭遇せずに進んでいった。しかし、アイテムも拾えていないので得しているとは言えないのだけど。
そう思いながら十分程進んでいくと、少々広い空間があった。フィールド名としては『アカイワの獣道 奥地』となっている。………………もしかして、道を間違えたのだろうか?いや、間違っていないはず…………と思いつつも、私は周辺を観察する。
テニスコート程の広さである空間は、草が倍以上に切り分けられており、獣道では無くなっていた。しかし、何か来るのでは…………と、私は『ヴァンプトリガー』を装備する。
今回のクエストで運ぶ『マリモン入りの瓶』はアイテムbox系の物の中に入れることが出来なかったので、腰に巻いている。腰に巻きながら刀や薙刀で戦えば余裕で割る自信があるので、今回は『ヴァンプトリガー』などの遠距離攻撃だけで行くしか無かったのだ。
……………そう考えていると、謎の空間にはお約束なモンスターが一体出て来た。それと同時に、VWにメッセージが表示された。それは、このクエストの条件が本当に『特になし』で良かったのかを疑うようなメッセージだった。
『アカイワの獣道 フィールドボス ファントムモンキー Lv.3』
まともな初モンスター戦が、まさかのフィールドボスって………いや、相手のレベルは低いんだけどね………。そう思いながら、私は『ヴァンプトリガー』に弾を装填するのだった。




