暗雨視点 商業ギルド-3
…………一回目は成功しなかった。いや、『変化』が発動しなかったと言うのが正しい。『強化』の合成の時みたいにフレーズはいらないはずなんだけど………。
とりあえずVWの方で確認すると、『塩ブロック』の数が足りませんと出ていた。……………まぁ、『薬草』の大きさからして、『塩ブロック』一つだけでは足りないだろう。
私は『塩ブロック』を三個程でもう一回やってみた。すると、今度は成功した。このやり取り一回で『エナジーソルト』が三個分出来た。まぁ、『塩ブロック』は三個だしなぁ………。
出来た『エナジーソルト』を見ると、思ったよりも緑色では無く、かなり薄く緑がかった白だった。これが『エナジーソルト』だと知らなければただの塩だと思うだろう。
ここで一つ疑問に思うことは、『調味料・塩ブロック』からはいくらでも『塩ブロック』が出て来る。入れ物の要領の2、3倍は出て来るが、今は気にしないようにする。
『エナジーソルト』を鑑定してみると、こんな感じだった。…………まぁ、塩だから調味料になるんだよなぁ………と思いながら、この『エナジーソルト』の鑑定結果を確認する。
『エナジーソルト』………『薬草』の成分が加わった塩の塊。これを使って料理された物には必ず『口内清涼感増加』と『HP50回復』の効果が付く。主に『干し肉』に使われている。
……………なぜかガムをイメージしてしまう。…………間違いなくこれはミントとかの部類だよね?なんで塩なのにこんな効果が………とも思ってしまうのだけど、これなら柚塩なども作れるのが分かったので良いとしよう。
『合成術』のスキルレベル上げのため、私は残りの薬草と自分の持っていた『薬草』で合計150の『エナジーソルト』を作り、『合成術』のレベルを10まで上げた。
しかし、塩だけを食べるのもなんかなぁ………と思い、口にはしなかった。それに、納品するのは5つである関係で、私の手元に残った『エナジーソルト』は全部で148個となったのだった。
そして、私は作業所から出て、『MP回復薬』と『エナジーソルト』を納品した。そして、『調味料・塩ブロック』を返却した。しかし、これの仕組みについて気になったため、朝丸に聞いてみた。
「あぁ、調味料ってついているアイテムは底に書いてある期限中ならいくらでも使えるというアイテムだ。とは言っても砂糖、塩、酢、醤油、胡椒だけの話だけどな。」
「さしすせそから味噌だけが排除されてますね………。まぁ、形状を考えれば仕方ない事なんですけど。」
流石に粉や液体なら良いにしても、固形物は無限化する事は不可能だった訳か………。と思っていると、味噌は1キロで100ロムと現実の特売日よりもやや安い値段で売ってあるらしい。
「そういえば、報酬で『調味料・醤油』があっただろ?それと、『魔力茸』の石突きが大量に余ってるのも分かる。この二つを使って良い物を食わせてやるから、ちょいと貸してくれないか?」
まぁ、朝丸は信用できる人間なので私はその二つを預け、『タガーナイフ』作りのため、炉のある方向へと向かうのだった。




