暗雨視点 クラスメイト-8
まずはオレンジプレイヤー…………名前は『リオード』という奴に私の要求する事を言い、早速実行させる事にする。
「敗者リオードには『無間牢獄』内で唐森 春也著、『VRMMOとVROの基本』『VRMMO都市伝説』『VRMMOと単なるMMO違い』の音読しながら読破。読破するまでは永遠に無間牢獄から出ることを許さない。」
それを聞いた取り巻き………『パオ』の顔は真っ青になった。それもそうだろう………無間牢獄はVRMMO都市伝説でも有名な物だ。なんでも、絶対に脱出できない牢獄という…………。なんせ不可思議程の段がある階段を登り続けなければならないのだ。
しかもその牢獄………何も無いのだ。VROでは犯罪者プレイヤーを牢獄の中で生産職にしておくために、機材などが用意されている。生産している間は経験値はプールされるのでレベルに差ができる事は少ない…………だが、無間牢獄には何もない。
ただただボーッとしていながら、レッドプレイヤーとしての罪を清める時間を過ごすのだ。……………プレイヤーとして辛いだろうが、まぁレベル差20以上の2対1の勝負の卑怯極まりない勝負を先にふっかけたのは向こうのくせに、私だけ非難されるのに少しだけムカついたので、リオードには相応の罰を与えようと思う。
まぁ、課金して本を買わないといけないし、その本の内、『VRMMO都市伝説』が発売されるのは現実世界で三日後だ。それに唐森さんの本はとてつもなく分厚い………静なら喜んで読みそうだけど、リオードにとっては苦行そのものだろう。
リオードは最後まで私を罵倒しながら、無間牢獄へと転移させられていった。それを見たパオは自分もこうなるのでは?とこちらに縋るような視線を向けていた。
「敗者パオにはレッドプレイヤーとして、ゲーム内時間で1ヶ月過ごして貰う。」
それを聞いたパオはホッとしていた。パオの方はVRMMOに関しての知識があった分、私を罵倒しなかったし、私以外にGMコールされてもこれぐらいの罪となるだろう。
リオードの時には完全に私怨かもしれないが、もし向こうが勝っていたら何を要求するか分からなかった。まぁ、向こうもこれぐらいのリスクを考えて賭けた品が一回切りの何でも言うことを聞く券的な物だったんだろうので、同情することは無い。
パオはリオードよりも軽い罪だった事に安堵した表情を見せながら、牢獄の方へと転移されていった。すると、これまで一言も言葉を発しなかったクラスメイトがオレンジプレイヤーとその取り巻きがいなくなった事に安心したのか、ようやく声を上げた。
「暗雨さん!ありがとうございましたのです!!」
…………いや、この子も初心者だからVRMMOでの基本マナーを知らない可能性はあったのだけど………と私は呆れながら、クラスメイトである撫宮 百合にデコピンをかますのだった。




