暗雨視点 クラスメイト-6
VRO内の設定として、『ヴァンパイア』や『ヴァンプロード』などの『吸血』を固定スキルを使うものは、血は力を得るための物という物だという。
まぁ、そうでなければ犯罪者の様に血を欲するだろうが、それはVROでは無いのである。つまり、主食は血では無くて米だ!!的なのが、この世界の『ヴァンパイア』なのである。
そのためか、爪にも吸血するための機関がある。日常的な食事で取らない分をこれで補うのだ。……………なら全部爪でやれば良いじゃん!!と思えば、違うのである。
爪でやる場合、二番目の能力の『一定確率でSP又はSPPを取得する』のみしか発動せず、一番目の『MP回復』と三番目の『一定確率でモンスターをテイムする』が無くなるのだ。恥ずかしいが、口で行う時の方がメリットとなる部分が多いのである。
アイアンクローなのは、オレンジプレイヤーの口を閉ざす事が出来るのと、爪が食い込みやすいからだ。他の場所にすると目の前であの罵声を聞かなければならないので、アイアンクロー以外の方法が無かったのである。
…………………だからオレンジプレイヤーよ、口でチートだと口を動かすな。そんな余裕があるのなら、GMに通報すれば良いじゃないか、チート使われて困っていますと。
そうすればあのオレンジプレイヤーの顔は真っ青になるだろうに。自信を持ってチートだチートだと叫んでいたらまさかの合法というか一部は説明書に書いてあった事柄だったなんて!!と知識不足を全て相手のチートで済ますのが愚かだったと思い知ると良いと思えるのだ。
「…………………あ、『吸血』のレベルまた上がった。」
オレンジプレイヤーのHPが一割以下になった時に、『吸血』のレベルが6まで上がっていた。にしても、一向に反撃してこない。いい加減反撃して貰わないと面白くないのだけど…………。そう思っていると、とうとうオレンジプレイヤーのHPは0になった。
『デスマッチに勝利しました。勝利報酬の関係で敗者プレイヤーを召還します。』
すると、オレンジプレイヤーとその取り巻きが私の前に償還された。仕様なのか、鎖で胴体と両足が巻かれており、どうやっても逃げられないようになっていた。
「………汚いぞテメー…………。」
「兄貴、アイツはチート使ってねぇぞ………とゆーか、兄貴はVRMMOは経験済みだって言ってたじゃないか!!」
「あぁ、やった事はあるっつーの!!『ロドリゲス』の廃人舐めんな!!」
…………『ロドリゲス』って、VRMMOじゃなくて世界初の3Dメガネで立体に見えるという、普通のMMOじゃないか………。そりゃプレイヤースキルの重要性を知らないはずだ。むしろ、勘違いする事も多いだろう。
私は呆れながら、オレンジプレイヤーとその取り巻きの二人のやり取りを白い目で見るのであった。




