望視点 InD・ゴブリンの地図-5
「おっしゃ!!一回攻撃させてもらうで!!」
ピピンは高いAlを活かして『ゴブリンキング』の後ろに回り、β版でのウィークポイントだった首を狙って走っていた。Alが高ければ壁走りも簡単にできるらしく、一気に『ゴブリンキング』の背後に回っていた。
私はキナに『かかってこい!』を使いキナのヘイトを上げた。すると、『ゴブリンキング』は一瞬だけ気を向かせていたピピンのいる方向からキナの方に視線を動かし、その結果ピピンの方ではなくキナに向かって棍棒を振り下ろした。
「『シールドアップ』!!」
キナが盾のアーツを言って棍棒を盾でガードする。キナが『カウンター』のスキル持ちだからか『ゴブリンキング』のHPも少し減っていた。
「ナイスやキナはん!!じゃ、行くで!!『首鋏』!!』
キナが作った隙を無駄にせずにアーツを放った。これは双剣を鋏のようにクロスさせて首を狙い攻撃するアーツだった。しかし、『ゴブリンキング』を一撃死させることは確率的に難しいらしい。しかし、与えたダメージは高かった。
「う~ん…………ボス部屋では確率20%が2%になるけんなぁ………。」
「………まぁ、後四割程まで減らせたのは凄いけどね……………首とウィークポイントとアーツの威力かしら?」
「せやな。このアーツはクールタイム1hもあるけんな………。その分首への威力は最高なんやけど。」
連続で使えれば良かったけど一回使えば次に使うのに一時間もかかるとなると、『首鋏』に頼るわけにもいかない。そう思っていると、『ゴブリンキング』の肌が緑から赤になり、分かりやすい怒りモードになる。
怒りモードになった『ゴブリンキング』は『ゴブリンコマンダー』や『ゴブリンアーチャー』を呼び出してから、Mアーツの『クラブクェイク』を使おうとしていた。
「………………ママ、あれは私が防ぐから、ママとピピンさんは雑魚を倒してから『ゴブリンキング』を倒して。私も反撃するけど」
「無茶すんなよ………。無理やと思ったら避けるんやよ。」
「うん、分かってる。」
「じゃ、行くよ!!」
私は『ゴブリンキング』の左側、ピピンは『ゴブリンキング』の右側に出てきた『ゴブリンコマンダー』やらをそれぞれ一掃するために走った。キナに『かかってこい!』をかけるのも忘れずにだ。
『ゴブリンキング』の『クラブクェイク』がキナに当たる直前、キナは自身の固定スキルの名前を叫び、『クラブクェイク』を受け止めていた。
「『マスターシールド』!!」
これにカウンターのダメージも加わって、『ゴブリンキング』のHPは残り二割となっていた。……………ここまでかかった時間は約五分……速すぎるかな?と思ってしまった私達である。




