望視点 InD・ゴブリンの地図-4
固定スキルを使い、100体以上のモンスターを一掃したピピンは、残念な事に息切れになっており、ゼハゼハと情けなく息を震わせていた。
「よ……よう考え………たら……Stを…………全然………上げて……へんかっ……たわ………」
「………結構リスキーね、その固定スキル。でもかなり強力よね?」
「………やろ………これ、『超錠時間』はシリーズがあってなぁ…………。電光石火や快刀乱麻………Alをもうちょい上げればさらに増えるで………」
息が整ってきたピピンに、キナが質問してきた。まぁ、一応身内でパーティ組んでいるから余程の事が無い限り言っても大丈夫であると思ったのか、ピピンは説明してくれた。
「『超錠時間』は簡単に言えば超スピードで移動してまるで時が止まった様に動くんや。もっとも、持続時間はDe依存やし、Stの補正無いと効果きれた後今のようになるんや。」
「…………でも、それならボスにも楽勝な様な………」
「いやな、『超錠時間』はボス戦には向いちょらへんよ。倒しきれんかったら大ピンチやし、ボスフィールドでは補正があってな、『超錠時間』は三分の一の確率で失敗するで。」
「β時代にもあったわよね……そんな仕様……」
β時代の様に全振りするのも駄目な事も変わらないみたいだなぁ………アルカナの固定スキルは…………。私もMP以外にもMaやMdを上げておかないといけないしね………。
「でもここまで来るのに三分もかかってへんのはえぇ事やん。さ、ボス倒しに行こかー。」
「そうね………じゃあ、今度の一番槍はキナに任せるわ。」
「う、うん!!じゃあ頑張ってくるよ!!」
「『ゴブリンキング』は棍棒を使ってくるやろうから気をつけてな…………今回は多分、ヘイト値やタンクが重要になってくぅけんな………。」
そして、三層目…………ボスである『ゴブリンキング』と私達は対面した。『ゴブリンキング』のレベルは20で有り、この中の誰よりもレベルが高い。ピピンはまだ10だからね……。
『ゴブリンキング』は他のゴブリンが小学生程の身長なのに対して突然変異を疑う程の巨体だった。簡単に言えば、四メートルほどのデプっとした体型のゴブリンだったのだ。
そんな『ゴブリンキング』との戦闘開始早々に、私は『金盥』を『ゴブリンキング』の頭上に出してみた。すると、『ゴブリンキング』が僅かに怯む。その隙をキナが見逃すはずもなく、突っ込むスピードを速めていた。
「『ダッシュスピア』!!」
槍やランスの基本的なアーツをキナが『ゴブリンキング』の土手っ腹に直撃させる。ここまでで『ゴブリンキング』のHPは一割ほど減らせたが、これから先にこのまま攻撃が通るかは分からない。
しかし、これこそがVRMMOであると、私達は燃えていた。しかし、なるべく速く倒さないとなぁ………と、私達は次の攻撃に移れるようにアイコンタクトを交わすのだった。




