暗雨視点 性別反転カップルの話-6
『…………………拙者は地元の神社で和式の結婚式でござるな……。昔からの幼なじみである婚約者の両親と祖父母、それから拙者の曾祖母の希望なのでござる。……………まぁ、拙者も婚約者も、その様式に憧れていたでござるから、問題なく出来そうでござるがな。』
『……………………結婚式か……………。まぁ、そろそろ女房の満足のいく結婚式が挙げられるくらいの余裕が出来たし、そろそろやるか。………………いや、大学時代から事実婚で成人と同時に入籍してな…………。理想は女房の俺に向けた幸せそうな笑顔が見れる結婚式に決まってるだろうが。』
…………………ごもっともな意見です……………と思いながら私はパンドラが発狂しないだろうかと感じてしまう。まぁ、大丈夫だろう。きっとスカーレットなどの未婚組がどうにかしてくれるさ………きっと。
「にしても、変わり種を出してくる人がいないなぁ……………。出しそうな人ばかりなのに。……………いや、かえってまともな意見を出す人達なのかな?」
「……………ティア、その偏見はどこから出ているのかな?あれはロールプレイであって決してリアルも同じという事は無いんだけど……………。まぁ、スカーレット先輩はリアルでもあんな感じだけどね………………。」
そんな風に話していると、こううとフィルトは話題に出て来た結婚式を想像したのか、顔をボンッと赤くしていた。………………でも、よくよく考えると『ビルダ』の町に行ったプレイヤーって女性しかいないから、新郎は全員女性か………………。いや、それでも良いのかもしれないけどさ。
「………………………まぁ、その内ママにも話すことになるからね…………。式の資金はこれから業績上げて増やせば良いし、結婚の時期は反対されないだろうしね。」
「……………………それは否定しないけどさ……………。」
「とりあえず、私がタキシードでティグレがウェディングドレスという事は決定にしておこうかな……………………。大丈夫、ティグレを見れば逆転していても問題ないし、違和感があれば化粧直しの時に戻せば良いから。」
「キナさん………………………。お、俺ももうちょっとバイト頑張ってみます!!なので、あまり無茶な事はしないでくださいね。」
……………………………なんか、もうティグレも性別逆転を受け入れてるよな………………と思う私とトヨトヨなのだった。まぁ、母さん達も文句は言わないと思うし、同僚からも何も言われないだろうしと思いながら、私は『ワープドア』で拠点に戻り、ログアウトさせて貰うのだった。ここからは小姑はいない方が良いだろうしね……。




