雪菜視点 ナジュレートはコラボが多い-2
あの洞窟から『ナジュレート』に帰ってきた私達は、冒険者ギルドに行ってクエストの報告をし、その報酬の額を見て目眩がした。一応はパーティーを組んでいた関係で四分割にはなるが、本当ならばティア一人が受け取る額のはずだったのだ。
その額は二億ロムと、一人5000万ロムの取り分になるという額であり、受付をしていたNPCも驚愕していた。…………まぁ、気持ちは分からなくも無いけどね……………。受付の方が言うには『ナジュレート・イノセクト』に触れられるとその気持ち悪さに絶叫して気を失う人が多かったので、私達もも100匹未満で帰ってくるだろうとと思われていたらしいからなぁ………。
「とりあえず、そのロムは返して貰わなくても良いよ。というか、皆で稼いだロムって事にしておいて!!これ以上ロムを増やしたくないんだよ、私は………………あの光景を思い出したくないから」
「ティアの拠点は増築する必要が無いくらい巨大だもんね……。」
「ティアさんがそう言うなら貰っておきますね…………。洞窟に行ってみたいと言わなければ良かったかもしれません……。」
「……………まぁ、今度防具を新調する時は無料でやってやるか…………。いや、本来なら俺の方が金出さねぇといけないぐらい素材貰ってるけどな………。」
私達三人はティアのトラウマを蒸し返さないようにするために四分割となった報酬を受け取ったのだった。……………まぁ、機会があったら返すために取っておくけどね…………。
「…………………ただ、なんとなく嫌な予感があるんだよね……………。」
「私もですよ、ティアさん。確か似たような事がラノベであった気がするんですよ……………。」
二人が何を危惧しているかは私には分からなかったのだけども、その後急にイベントみたいな事が起きたのだった。それは、ファンタジーやら転生やら、VRMMO物の小説ではよくありそうな事だった。
『おいおい嬢ちゃん、そんなに稼いでよぉ…………。生意気なんだよ!!オラッ!!金寄越せ!!渡せば何にも悪いことはしないからよぉ!!』
『こんなか弱そうな女子がこんなに稼げるわけねぇんだよ!!身の程を知りやがれ!!オラァ!!』
なんか、世紀末みたいなモヒカン頭のチンピラが入ってきた。彼らの言っているのは私達の事だろうと思いつつ、しかしスルーする事が出来ない位置に来られてしまう。………………ただ、彼らは私やティア、果てにはトヨトヨすら無視して脅す相手にティグレを選ぶのだった。
「俺は男だっつーのがNPCにすら認識されなくなったのかよ!!」
ティグレのむなしい叫びはギルド内に響いたのだった。………………いや、ティグレは一応男性…………だよね?女顔で女性みたいな格好をしているだけの。そう思いながら私はティグレを助けに行こうとした所、いつの間にか金髪のチャラい男がモヒカンを成敗していたのだった。………………なんでかイライラしてしまうのは気のせいだろうかと思いながら私はティグレのいる方へと向かうのだった。




