雪菜視点 ナジュレートへの道-3
ティグレとトヨトヨをパーティーに加えた私達はポータルを利用して『ナジュレート』に向かっていた。『ナジュレート』の外観はイベントクエストで一回行った事のあるティアもどのような町かは知らないため、完全に新マップとなっている。
ついでに言っておくと、このVROには試験的な要素として『自動拡大システム』という、隠しマップとされる世界は、約80種類の高性能な人工知能が会議をし、自由に作り出していくものであり、最初から組み込まれていたのは『アカイワ村』や『ビルダ』などのチュートリアルの前にいるマップのみである。……………そうでなければ運営側のプレイヤーはネタバレばかりされてつまらなくなるからね………。
つまり、『ナジュレート』は社長や父さんなどでも全く知らない、完全な未知のマップとなるわけだ。…………………まぁ、ポータルで移動した瞬間に囲まれるという事は無いだろうと思って進むと、要望通りポータルで着いた場所では何のイベントも起こらなかった。
「取りあえず、ポータルからすぐ門があるが…………門番が普通にいるな…………。通行許可証とかがどうなってるか聞いてみるか。」
「そうですね。お兄?ちゃん。」
「…………………ゲーム内でも現実でも?を付けるのはやめてくれないか?流石に俺の心が折れるんだけど。プレイ初日から叫びまくってるんだけど。俺は男だって。」
「服装だけで女性と判断するのは良くないと思うけどな……。ね、ティア…………って、あれ?なんで驚いてるの?」
「いや、ティグレが男だって普通に信じるんだなぁ…………と。」
まぁ、リアルでも会った事あるからね…………テシカの家で。その時には白シャツとGパンだったからテシカがティグレの事を姉と言ったときのリアクションなどを見て、普通に男なんだなと理解は出来たんだよね……………。まぁ、女顔には見えるけども……。
『『ナジュレート』への通行許可証は『ナジュレートボア』の素材と交換だ。皮ならばバザーで売る子供用の鎧の素材になるし、肉ならば私達や孤児院の子供達の食料に出来る。牙ならば町を守る者の武器となる。しかし金だとお偉い方の懐にしか入らぬからなぁ……………。』
「この二人は私の従者ですが、そちらはどう判断すれば……?」
ビル娘を二人連れているティアが門番にそう聞いていた。もしかしたら従者一人につき一つの許可証が必要なのか?とも考えられたからだろう。
『従者ならば許可証を持った主人と供に入るならば問題は無い。しかし、単独では門を通れないことは言い聞かせておいてくれよ……………。』
門番のその言葉を聞いた後に私達は『ナジュレートボア』を探しに向かうのだった。…………まぁ、見つけにくかったりするボスでは無いと思うけど、何かしら面倒な事が起きそうなんだよね……と感じる私なのであった。




