雪奈視点 逃亡中コラボの打ち上げ-7
スパイダーさんが最初にご飯をよそいに行ったときにコメントしたように、マリンさんはオムライス用のオムレツを使い、オムハヤシにしていた。…………しかし、その目は真っ赤で少し涙が溜まっていた。
「…………これ、ハヤシライスとしては邪道ですよ!!まぁ、ちゃんと作りましたけど~!!それでも、ハヤシライスに…………ハヤシライスに………。」
そして、ハヤシライスのルーの部分を全員に見せる。そこには具は確かにあった。しかし、普通のハヤシライスにあるはずの物が無く、代わりに入っているのは普通はハヤシライスに入れないようなものだった。
「ハヤシライスに挽き肉は邪道だと思うんです!!せめてバラ肉の様に薄くヒラヒラした肉を使うと思います!!」
「…………わっちの家では挽き肉をルーに入れるのは普通でござんしたよ?もっとも、カレーでしか見たことはないでござんすが。」
「でも、ハヤシライスに挽き肉か………。なんか美味そうだな。………でも、他の具がタマネギだけってのもな………。せめて人参とジャガイモも入れてほしいんだが……。」
ハヤシライスに関しての議論が始まったのだけど、マリンは卵を二、三個使ってオムレツを作ってるな………と思うのだった。…………というか、オムハヤシを見せられると暗雨製のオムハヤシが食べたくなる。
そう思った私は後日作って貰えるように頼んでおこうと思うのだった。ちなみに、暗雨のハヤシライスはタマネギ、人参、ジャガイモにマッシュルームと豚バラ肉で、オムハヤシにしてもらうととても美味しいのだ。
…………まぁ、雫にバレないように頼まないとね………とも思うのだけどね。そうしないと、雫に全部食べられそうになるからなぁ………。まぁ、その対策は暗雨に任せておくとして…………私は、マリンさんの様子を見る。
「…………………にしても、オムライスを作ろう!!コーナーの為に卵とチキンライスが常備されていたんですか………。でも、ハヤシライスは偶然あっただけなんですよね…?」
「ハヤシライスが無かったらカレーで代用していましたよ『……。でも、次の人にはネタが残っているんでしょうか………?あらかたやり尽くした感が……」
すると、順番が回ってきたスカーレット先輩が立ち上がっていた。そして何かしらの少年マンガを彷彿させる様なセリフを言いながら、食材の元へと進むのだった。
「前に来たときにやっていた中華料理フェアのかに玉が残っていれば天津オムライスを作ったのですけど…………今回は別のキャンペーンになっているので、玉砕覚悟のネタを持ってきますよ………。」
その後ろ姿はとても大きく、立派に見えた。私達はこの激辛カルビを、全て言い出しっぺのエンペラーさんの口の中に入れられるようにと、スカーレット先輩に期待してテーブルで待ち続けるのだった。




