暗雨視点 キャラメイク-2
ログインした直後、画面にはアカウントフレンドの確認という物が出てきた。このアカウントフレンドというのは、ゲーム外の友人や家族とすぐに合流できるようにフレンドとして登録しておくという物だった。
確認すると、父さんと母さん、暁美ねぇに雪ねぇ、雫に小梅さんが登録されていた。本名で表示されているのは知らない人と気付かない内にフレンドになってしまっているという事を防ぐためだ。
私は問題なしと画面に入力し、次の画面に進む。当然、キャラメイクである。ゲーム内で動くキャラを作るのである。
最初に性別だが、当然女を選ぶ。なるべくネナベ、ネカマプレイをしないようにと運営からも呼びかけられている程、性別を違う物に変えると、動きのギャップが半端ない物になるらしい。
下手すると、現実世界でも反映される。脳がおかしくなるという事件もあったため、正直なプレイヤーが多い。やりたい人間は男の娘やらをやるらしいが、私は普通に女を選ぶ。
その入力が終わると、次にプレイヤーネームを入力する事となっていた。最初に私の記憶やらから情報を得て、オススメネームが表示されるのだが……………。
「なんで、Bradかなぁ…………?勿論別のに変えますから。つーかなんでいつもの奴が出ないかなぁ………あ、そうか、VRMMOを本格的にやるのは初めてだったからか。」
黒歴史が脳の中に呼び出されるキーワードのために、私はそれを消して、代わりに『ティア』と入力する。暗雨→クラウン→王冠→ティアラ→ティアという流れで作られた私のプレイヤーネームだ。
後、私がVRMMOをするのが初めてなのは単純な運の不足である。VRMMOのMMO版はやっていた事はある。ダンジョンづくりのゲームで、VRMMO版の人達と対決みたいな物だった。
その時に使っていたのがティアというニックネームなのに、なぜBradが第一候補に挙がったのだろうか?と思ってしまう。もしかしたら、消し去りたい過去の方を深層心理から持ってくるのだろうか?
それは嫌だなぁと思っていると、アカウントフレンドの欄に書いてある暁美ねぇや小梅さん、雫に母さんの名前の上にそれぞれのプレイヤーネームが書かれていく。雪ねぇはカッコつけたがりなためか、未だにニックネームが表示されない。
父さんはまだ帰ってきていないのでニックネームが表示されないのは当たり前なのだ。だが、この機能は重要である。VRMMOで本名やリアルでの明確な情報を開かすのはルール違反なのだから、ニックネームを知っているというのは良いことなのだ。
表示される中で雫のニックネームだけは私の予想通りだった。母さんと暁美ねぇ、小梅さんとはゲームをしたことがないのだけど、すぐにこれを入力しましたという空気が流れていた。
…………プレイヤーネームを入力した後に出てきた項目は、キャラの顔と体型だった。その後、種族となるらしい。私は次へ進みますか?という表示で、はいを押すのだった。