暗雨視点 性悪弁護士の企み-4
「お願いというのはね、運営が用意した名プレイヤーとして、イベントに出てほしい。ただそれだけだよ。今後予定しているアルカナプレイヤーのトーナメントにテシカと一緒にゲストプレイヤーとして出たり、『逃亡中』のコラボにて最強の黒服役として出てほしいってわけ。」
「…………二つ目のアカウントで?」
「そういう事。RPKやGSPみたいに大義名分があればステータスいじりも可能だけど~、イベントでそんなプレイヤーが出てきたら絶対に不評じゃん?だからティアを捕まえたかったわけ。」
「…………分かりましたけど、二つ目のアバターの容姿はどう設定するんですか?」
「それについては私がやる事になってるからねぇ~。」
そう言ってからマオンは私の二つ目のアバターを作成し始めた。それに伴い、私の意識はティアの体から離れてすっぽんぽんな未設定のアバターへと向かった。ちなみに、ティアの体は消滅せずに、未設定のアバターの後ろで立ったまま目を閉じている状態だ。
「髪は黒に変更して、瞳の色は赤に。脂肪の塊はそのままの大きさで尻尾は黒にしてから数を一本に。服の誓約が外れたから服は色々試せるけど今回の初お披露目の時にはスーツで良いか。男性用っぽいスーツで。で、特殊なスキルの付与は無しっと。これで調整は終了。明後日に『逃亡中』のコラボイベントがあるからね。報酬としては一人捕まえるごとに5万ロム。まぁ、登場できるのはミッションを三回失敗する事だからなかなか出番は来ないかもしれないけどね。」
言いたいことだけをパッと言った後にマオンはVWを立ち上げてからパッパッと操作して私のアカウントを増やしていた。ちなみにこの事はミーなどの私の身内には内緒で通した案件らしく、この事は内密にと言ってきた。
当然のように私に彼氏がいることを取引の内容として提示して私に無理矢理にでも首を下に振らせた後に、そろそろ隔離されていたフィールドから元の『ラクティス』の町に戻るよと言われると同時に、『紫紺の袴』がさらにボロボロになり、紐パンレベルの短さになっているのに気付いた。
オロオロしている私を見て一頻り笑った後にマオンはGM権限でか、RPK達とPVPする前の状態ぐらいまで修復してくれた。…………しかし、『逃亡中』で3人捕まえないと家まで来てお菓子をねだると言われたので、請求するのが得意だなぁと思う私であった。
ちなみに、私がPKしたプレイヤーは私との会話のログで私をひたすら罵倒しているのが問題視された後に、あのオタクを殴って奪ったと宣言したのを見られたために、アカウントを凍結され、二度とVROの世界に現れることが無かったという裏話もあるが、それはまた別の話だろう。




