暗雨視点 性悪弁護士の企み-3
彼女は、自分の計画が狂った事を全く気にしていなかった。それは、彼女が無知であるからなのである。彼女は昔から、人の言葉により傷つく事や、計画や予定がダメになったことで苦しんだことが無い。それは彼女が幸運に恵まれていたのでは無く、元々彼女は喜怒哀楽の怒と哀の部分が欠損しているからこそだったのだ。
まぁ、普通ならば感情の感覚……………胸がズキズキしたり、頭に血が昇ったりする事はあっても、それが何とう感情の名前なのかは知らないという時期があるだろう。だが、この性悪弁護士にはそんな事が一切無かったらしい。
また、彼女には痛覚が無いという程鈍い。感情の一部が欠損しているという理由で彼女が暴力を奮われても、彼女には何も届かなかった。殺気なども当然のように彼女には伝わらないため、彼女が逃げ出す事は無いのだ。まぁ、はっきりとしたいじめを彼女が隠しもせず、訴えもせず、そもそもいじめられていた事にも気付かず、当時の教師は頭を抱えただろうと思うけど。
そんな彼女はなぜ弁護士になったのかといえば、個人ならば大きな責任も無く、失敗したとしても被害者側で有利な状態から大暴落しない限り、失敗を責められないとい職だったかだという。まぁ、彼女は確かに優秀だったからね………一部の感情を知らないことと、痛覚が無いこと以外は。
彼女は大学院まで余裕で進める程優秀だったらしいが、普通に四年で卒業した後にすぐ試験に合格し、研修期間を経て弁護士となったのだ。……………まぁ、加害者であっても被害者であっても、どれだけ怒鳴ったり泣いたりしても動じず、逆ギレして殴ったりしても動じずに、きっちりとそちらについての請求もするという弁護士と接するのは嫌だっただろうなぁと思う。
「まぁ、これでティアにレッドプレイヤーだったのを免除する代わりにGMのマオンという私のお願いも聞いてくれるわけだ。あ、もし聞かなかったらさらに10倍にしたRPKとのPVPやらせるから。」
「…………………くそっ。この『情け無用!魔法少女・マオン☆ミオン』の片割れの言うことを聞かなかったらもう一回面倒なPVPやらされるのか……………。分かりました。やりますよ。なんでも言ってくださいよ。」
「懐かしい呼び名で言ってくるね、ティア。まぁ、聞いてくれるのはうれしいよ。ここで断られていたら彼氏がいることをヴァルツ経由でデイブラックに報告しようかなぁと。」
……………危なかった。デイブラックが暴走してしまう事が起こらなくて良かったと思える。そちらが条件となっていたら即答だったが、この性悪な弁護士は私が迷ったあげくにやらなかったら恐ろしいことになる事を隠していたのでやると言っていて良かったと思える。
後、『情け無用魔法少女・マオン・ミオン』はヴァルツがマオンを伴って自称していた魔法少女の事である。ちなみに、小学校5年生の時にテレビの影響でやっていたヴァルツの黒歴史らしく、ヴァルツの前で言うとヴァルツは頭を抱えて穴に入ろうとする。
しかし年齢差的にはこの性悪弁護士の方が黒歴史のはずなのだが、一切動じていないため、この様な精神攻撃も彼女には効かないのだと思う私なのだった。さりげなく言ったのでは無く、堂々と言ったつもりなんだけどね……。




