暗雨視点 覚醒-3
…………………『ラクティス』につくと、そこには偶然なのだろうが、リリーとおそらくクラスメイトの誰かであろう2人が人混みの中にいた。リリーは私に気付いたのか、私に手を振っていたが私の装備がボロボロなのと、返り血で所々銀髪が鈍い赤の光を放っているのを見て、驚愕して大丈夫ですか!?一目散に駆けつけていた。
「ティアさん!!その傷は誰にやられたのです!?私達が復讐してくるのです!!だからまずは『回復魔法』を………………。」
「いや、これ返り血だから。落ち着いて。」
「この量の返り血って、どんな強いモンスターを倒したんですかです!!」
…………………はぁ、なんでこんな急いでいるときにメンドくさいような人と遭遇するのだろうか。まぁ、あまり騒ぎになっていないから良い物の…………と思えてくる。あのMPKのプレイヤーが捕まり、『カムパン平原』という狩り場が解禁されたという事がスレにより知れ渡ったのでそこへ向かっているのだろう。
「……………リリー、その人に迷惑でしょう?それに、『回復魔法』を使おうとする前に、このゲームには基本的に血液が飛び散るという表現は無いはずという事も考えなさい。」
「で、でも実際に血塗れの服を着た人がいればパニックになりますよ!!それに、クラスメイトなら尚更です!!」
………………リリーがやや大きい声で私のリアル情報をバラマくようなマネをするのはなぜだろうか………と思う。私がその事に頭を抱えていると、リリーとパーティーを組んでいる2人も情けないというような感じで頭を抑えていた。
『もしかして、真城さん?』
『……………そっちは冷村さんと錦さん?』
VWで会話すると、2人はうんと頷いた。まぁ、顔は殆どそのままだし、リリーが兄や他の男と行動していなかったのから明らかなんだけどね…………。主人の学友と顔を似せて護衛するSPなんて聞いたこと無いしね………。
「えぇ、私はこの世界ではアンクとなってて武器は片手剣と盾で一応このパーティーではタンクね。種族は人間を選んだんだけど、ランダム上位種ハーフも良かったかもって思うけどね。」
「じゃあウチも。ウチはこの世界では四季。パーティーではアタッカーやってて種族はカーバンクルエルフ。いや~、長い耳が四つもある奇抜な見た目だよ~。」
私もこの世界での自分を紹介しようと思ったら、既にリリーから聞いているので良いと言われたので、そのまま彼女達と別れてティグレの店に行こうとすると…………。
「なんてお前がここにいるんだよ!!つーか、なんで生きてんだよ!!人の人生散々潰しておいて、なんですみませんでしたと自殺してねぇんだよ!!お前は俺らに土下座しながら自殺すれば良かったんだよ!!お前の家族も皆不幸になれば良いのに、なんでならないんだよ!!血塗れシルバーデビル!!いや、真城 暗…………。」
「………………」
本当になんで急いでいるときに面倒な奴が出てくるのだろうかと思いつつ、私は彼の首を掴んだ。それと同時に私のアイコンがオレンジになるが気にしない。後、コイツの言うことも筋違いなんだよな……………。
確かコイツも私の元クラスメイトであり、空手部の部員で彼の家の道場では黒帯だったが、暁美ねぇを当時の上級生達と襲おうと計画を建てた奴だ。
………で、私一人に阻止されてから親戚筋の無い両親から絶縁され、黒帯も剥奪。少年院に入ってて高校にも通えなくなった最大の自業自得やろうだったはずなんだが…………。なんでそんな奴の思惑通り自殺してやる必要があるのだろうかと思う私なのだった。




