暗雨視点 ワープドア-6
泣いていたファルトは顔を拭った後、顔を赤くしたまま私を指さして叫ぶ。普通なら学校の中や寝室などでやる様な動作だが、ここは岩山。岩盤むき出しの岩山でやるにはなんともシュールな光景だった。
『せ、責任を取りなさい!!この私に敗北という辱めを与えたのです!!と、ととと当然引き取りますよね?きょ、拒否は認めません!総督という心構えがあるのなら当然でしょう!?このファルトアイゼン、総督のビル娘になります!私達はあなたに一撃も攻撃を、当てることができませんでしから!!』
ファルトがそう宣言すると、ファルトが私の使役するビル娘として登録された。……………なんか、酔っぱらって記憶が曖昧な中、お嬢様と一夜を共にしてしまった一般庶民の様な感覚になる。私は女なんだけどね…………。
ファルトの方はすぐに立ち直ったというかなんというかとなったが、フィルトの方は未だに立ち直れておらず、私が話しかけようとしても変わらなかった。…………正直、彼女には何の非も無いんだけどなぁ…………。あのドリルスマッシャー(仮)が襲ってきた瞬間を忘れる事が出来ていないのだろう…………いや、気持ちは分からなくも無いけど。
私だってあんな風に待ち伏せで強力な攻撃を、しかも避けきれない位置と速さでやられたら恐怖で身が震えると思う。いや、『パージブレイカーZ』の時は私から向かっていったのでノーカウントになるけど。
『……………あ、総督さんになる人だぁ………。僕と姉様のご主人様になる人だ…………。そして、また風穴開けられちゃうんだぁ…………アハハハハハ……………。』
フィルトはあのドリルスマッシャー(仮)というか、腹に風穴を開けられた事にトラウマで目から光が感じられない…………そう思いながら私はフィルトに近付く。するとフィルトは光の無い目で私の顔を見るのだった。
『総督…………僕は……フィルトアイゼンです………。もう風穴…………開けないでください…………。』
「もう二度と開けないよ。あれは勝負だったからやっちゃったわけで、フィルトは強かったよ。それに、可愛い娘のフィルトを傷つけるなんて私はしたくないから。」
私は本心からそう言ってフィルトの頭を撫でる。すると、フィルトの瞳に段々と光が戻ってきて、私の胸に飛び込んできた。そして、先ほどまで出せなかったのだろう涙を流しながら、ホントに?という言葉を繰り返している。私はそれに何回も本当だよと答え続けた。
これは後日、スカーレットから聞いた話だが、ファルトとフィルトは本家ビルこれではイベントミッションでのドロップでしか手に入らないらしく、その時の台詞がそんな感じらしい。
ちなみにフィルトをドロップするためには弾を放つ武器のみでダメージを与えるという条件があるためにこの様な台詞になるらしい。総督への好感度が嫌悪ではなく恐怖で始まる珍しいビル娘というので、好感度を普通にまで上げることが出来たのは良いことかなぁ………と思うのだった。




