暗雨視点 ダンジョンクリアと後始末-8
名前の分かっているアーティファクトよりも、系統が同じのオーブを優先した私はその名前を見て、…………無言となってしまう。いや、これはロボの名前なのか?と思いスカーレットに嫌みのように質問するのだった。
「次はこううが取ってきた『ビル娘オーブ』ですけど…………。『ニャニャニャン』ってどんな機体ですか…………?いや!、そもそもロボットなのか?どうなんですか!?」
「なんで私に聞いてくるかなぁ~。」
「少なくともスカーレットさんの方が詳しいと思ったからです。あの暴走っぷりをみれば分かりますよ。」
そう言いながら私はこのオーブを顕現した。するとそこにはオレンジ色の猫耳と尻尾の付いた少女がいた。身長はこううと同じくらいで、彼女の髪の色は猫耳と同じオレンジ色、服装は不思議の国のアリスをイメージした様な水色と白のエプロンドレスで、胸元には大きな鈴のついたリボンが付いていた。
『ふにゃ…………、総督………よろしく、です………にゃ。…………またにゃって付けちゃったにゃ………。』
「にゃ、にゃんこ可愛いです!!もふもふしたいです!!この語尾を無くそうと努力する感じがたまらないです!!」
『ふ、ふかー………にゃ………。総督………助けてください……にゃ。』
先ほどの発言は、てっきりスカーレットかと思ったが、信じがたい事に声の主はマリンである。本当にマリンなのかという証明は、マリンに怯えて私の足にしがみついているニャニャと、鼻血を垂らして気絶しているスカーレットが証明していた。
…………本当に、初めて会った時の凛々しさというかなんというかはどこへ消えたのかというぐらいの変貌ぶりであると思ってしまう。例えで言うならイケメン主人公がロリコン又はマザコンだったという様な…………。
あれ、これってキナにも当てはまりそうな………って、違うか。確かにギャップなどは存在するだろうが、キナの場合はオンオフの関係だけだと思う。キナは仕事している時………特に外回りの時には家でムーに甘える事が多いとは思えないほどの手腕を見せるからなぁ………。
しかし、スカーレットはヘタレと変態がメッキで隠れているというイメージだ。………………まぁ、それはそれでいいのかもしれないと思えるのは、彼女の人徳なのだろう。まぁ、ヘタレな所を見せなければマシになる………いや、ヘタレが変態の部分を隠しているのかと思ったので今のままでいればいいだろうと思う私なのであった。
「あ、ウロボロスが膝枕始めた………。そして鼻血の量少しだけ増えた………。」
私のつぶやきは、ニャニャのマリンに警戒している空気や、マリンとペズミオスが一緒になって出している鼻息によってかき消されたのだった。




