暗雨視点 ビル娘の町-8
「じゃあ続けてもう一回……………」
『駄目だ。儂にも誓約があってな、同じプレイヤーに作ってやるには間隔を開けないといけないんだ。簡単に言えば現実時間でいうプレイヤーの使役しているビル娘の人数×2の日数な。つまり、さっきの奴で1人になったお前は2日経たないとドロップ以外では増やせないわけだ。』
するとスカーレットは少しだけ落ち込んだが、ウロボロスのあすなろ抱きみたいな抱擁を受けて、少し顔を赤くしながら、納得した様な声を出すのだった。
「……………でも、そうでもしないとビル娘のインフレが起こるから仕方ないですか………まぁ、ウロボロスちゃんがいるから大丈夫ですけど。」
『すまんな。分かってくれて…………この誓約を破ればビル娘オーブを作る時の費用が100倍の100万×使役しているビル娘の人数になってしまう。100倍ずつ増えていくからなぁ…………。』
つまり、私がビル娘オーブを製造して貰った場合には4人+1人で5人になるため10日間は製造してもらう事はできないという事だ。案外厳しい仕様だろうなぁ………と思う。ドロップで増えたら余計に長引くし。
『じゃあ次は誰がする?最初のは無料だったが今回は素材などキッチリ払って貰うからな。』
「それなら私が試してみますか…………。今4人いますから4万ロムで良いんですよね?」
そう言って私は石油と宝鉄を500ずつという配合で作って貰う事にした。鉱石と隕鉄を使わないのは、別の所で使う時があるかもしれないと思ったからだ。あくまで、あるかもしれないという憶測なのだけどね。
『装置は二つあるからもう1人同時でも構わないぞ?儂の腕は二つまで同時なら扱える。本家の奴等とは少し違うんだよ。それに、共鳴という奴でレア度の高い奴が出やすくなるからな。』
「じゃあ私がやります!!全部ぶっ込みでお願いします!!」
『まぁ、お前はビル娘を1人も使役していないからな。最初は無料だ。ただし、二人ともどんなビル娘が出てきたとしても文句言うなよ。』
そう言いながらコルギオスは二つのオーブを作り出して私とマリンに一個ずつ渡した。共鳴していてもビル娘の名前の欄が???になっているのは変わらなかった。まぁ、悩んでいても仕方ないのでさっさと顕現させることにした。まずは私からだった。
「顕現せよ。」
すると、私の目の前には白い学ランに白が基調の緑のラインが入ったスカートを履き、白い軍帽をかぶった少女がいた。髪は軍帽に隠しているのか、後ろの方が少し上に捲れ上がっているが、薄く綺麗な金髪が特徴だと思える少女だった。
『シュドルク・ホワイトです!!総督の為に戦います!!』
『よろしくね、シュドルク!!』
『はい!!こうう先輩!!よろしくお願いします!!』
…………こううは自分より背が高いシュドルクに対して先輩風を吹かせようとしていたが、私には微笑ましい情景にしか見えなかった。しかし、シュドルクにはちゃんと先輩風を吹かせる事が出来たらしく、シュドルクの顔つきはまさしく後輩的な表情となっていた。
『ペズミオスです…………よろしくです、総督…………。(ロリロリな総督ハァハァ………頭撫でたいけど、甘えれば慎ましやかな胸にすりすりでき………。贅肉総督に当たらなくて良かったぁ~。)』
「はい!!ペズミオス!!一緒に頑張りましょう!!」
……………私がやった直後に顕現させていたマリンのビル娘は、副音声が混じっていた。完全に隠れロリコンだけど。その事を知っているだろうスカーレットは同僚への優しさからか口を紡いでいる。
しかし、()内の音声はマリンには聞こえてないらしいが、マリン本人が気にしていないのを見ているとわざわざ言わなくても良い気もしたが…………少なくとも私を贅肉総督と言ったことには少しムカついたので、PVPする時があったら容赦なく心を折ろう。そう決意した私は二人のビル娘の情報を確認するのだった。




