望視点 チュートリアル前-4
「学校の図書館、ただタブレットが置かれてるだけだから、これは嬉しいところ。」
「まぁ、予算の削減としてなら別に良いのかしらね………とは思うけど、紙の本の方が読みやすいはずなのにねぇ………」
「電子書籍は読みにくい。紙の本の方が読みやすい。」
紙の本よりも電子書籍の方をメインにしている中学校、高校は最近多くなっている。図書館の中が大変混雑するから、よほど大きな図書館を設置できないような学校だと、読書用のタブレットやを渡しておくという暴挙があるわけだ。
これのせいで図書室と名の付くような学校の設備はデータダウンロードするためのコンピューター室とでも言えそうだ。学校側の意見としては、本の取り合いも無いし、本を増やすためのスペースの増加も無くて良いからという。
けど、タブレットは学校内でしか使えないから持ち帰りは駄目で、電池も充電するのは電池が切れてからなので、問題が山積みになっている気もする。
幸い、街の図書館は電子書籍中心でないためかなりマシになっていると思う。でも、VROの図書館も気に入ると思うから私は静にチュートリアルを受けさせようと思うのだけど………。
「静はどんなアバターにしたの?初期装備が本ってβ版では見なかったから…………。」
「そうなの?」
とりあえず静のステータスを見ると、以下のようになっていた。
静 ドリアードエルフ 魔導書司
Lv.1 SP Ma + 20
装備
武器 狼の本 Lv.20(Max)
防具 見習い書司のローブ Md + 10 Lu + 20
HP 50 基礎値 20
MP 250 基礎値 50
At 2 Df 2
Ma 9 + 20 Md 3 + 10
Al 1 De 8
St 2 Lu 9 + 20
メインスキル
『精霊魔法・5』『召喚獣・5』『風魔法・5』『索敵・5』『魔書理解・45』
エクストラスキル
『光合成』
サブスキル
『料理』『速読』『テイム』
残りSPP 0
称号
『怖いもの知らず』
所持金 1000ロム
……………面倒くさがって凝った設定にしないはずの静がなぜここまで細かく選んだのかと思い聞いてみると、静はお任せ選択を使ったといっていた。
β時代には無かった機能で、なろうと思う職業を入力するとそれに合わせたスキルを選んでくれるらしい。そして、称号は、自分で決めるのが面等だからとやった結果………。
でも、一番気になったのは初期装備の武器のレベルMAXの表示と『魔書理解』のレベルの高さだった。…………バグでは無いわよね………?
そう思いながら、私は静をチュートリアルに連れ出す。詳しい話はそこで聞くことにしよう。そう思って静の手を引いて、チュートリアルへの道を進むのだった。




