暗雨視点 ゴブリンキング討伐戦-2
『韋駄天』の効果としてダッシュがかなり速くなるが、その分MPを僅かに消費する。ずっと使い続ければ、間違いなくMPが枯渇するだろう。節約して使おうと思えば最初の踏み込みだけを繰り返すという方法があるが、持続的にMPを消費しないというだけで減り続ける事に変化は無い。
ならば、『魔素呼吸』と平行して使えばフィールドの移動がかなり速くなるのでは?という考えた。それは正解だったらしく、MPをそこまで消費せずに僅か五分程で『ゴブリンキング』のいるらしいフィールドの近くまで来ることか出来た。
フィールドの近くと言ったのは『調査ギルド』が張り込んでいるからであり、彼等にクエストの紙を見せなければ入らせて貰えないのだ。私はさっさとクエストの紙を見せてから『ゴブリンキング』のいるフィールドへと向かった。
この時に私は、ちゃんと準備していた事に感謝する事になった。普通の『ゴブリンキング』だからとスキルを買ってから来ていなければ色々と面倒な事になっていただろうと思えてくる。というか、時間切れにもなったかもしれない。
『エルタッタ草原 クエストボス ゴブリンキング・項羽 Lv.38』
『エルタッタ草原 クエストボス ゴブリンキング・劉邦 Lv.38』
………………いや、2体いるのは知っていたんだ。でも、ここまでレベルが高いとは思っていなかった。というか、なんで歴史上の人物の名前を冠しているんだろう?
まぁ、項羽は双剣を持った戦士で劉邦は取り巻きの『ゴブリン』や『ゴブリンアーチャー』を従える軍師って所か。そして2体ともHPは満タンで、ソロプレイて大丈夫ですか?と言いたくなるNPCの気持ちもよく分かる。
………だけどまぁ、ソロで挑戦してみたくなる気持ちもあるじゃないか!!と思う私は、逃げ出さずに戦闘を開始するのだった。残り時間は後1時間50分……………開幕は何にするかもすでに決めた私は2体の真ん中に飛び込んだ。
「『幻想術』」
2体同時に戦う事ははっきり言って不可能なので、『ゴブリンキング・劉邦』にかける。これが吉と出る凶となるかは分からないけれどね………と思いながら。しかし、そんな心配は無かったらしい。
『ゴブリンキング・劉邦』は『ゴブリンキング・項羽』を攻撃し始めた。普通ならば軍師である『ゴブリンキング・劉邦』を倒すのが普通なのだろうが……………私はさっさと『ゴブリンキング・項羽』を倒してしまうという戦法にした。
…………恐らく、これまで失敗してきたプレイヤー達は、『ゴブリンキング・劉邦』を先に倒してしまった事にあるのだろう。2体同時に出てくるボスには、どちらか1匹になった時に怒り状態や特殊能力を発生させるというのがテンプレだからなぁ…………。
クエスト残り時間は1時間48分…………。さて、どれくらいで『ゴブリンキング・項羽』を倒せるかなぁ…………?




