暗雨視点 錬金術-9
「威力の強化では無く、性質だけならMPの消費量は変わらないが、『アクアアロー』や『ウェイブ』、『ビッグウェイブ』の時のような威力が変化する時にはリスクがある。ただ、そのリスクについての項目は保存されるし、実力が付けば軽減されるがな。」
そう言いながら、ヴァルツはどの様な性質に変化させる事が可能だったかを話してくれた。最初の『アクアボール』は火属性以外のモンスターにも有効打になる属性的な性質の変質だった。
穢れなき……的なフレーズは闇属性の相手にも有効になるよう光属性の様な特性が付くらしい。…………ただ、『アクアボール』の様に、すぐに理解しづらいのもあれば『アクアショット』の時の様に具体的すぎな言霊や『レイン』の時のように簡易的な言霊にも効果が付く。汎用性は非常に高い。
ただ、リスクがあるという物にはそれなりにリスクがあった。『アクアアロー』や『ウェイブ』の時には消費MPが1.5倍となっており、さらに言霊のフレーズを伸ばすと2倍膨れ上がるだけなら良い方とも言えるくらい恐ろしい物となる。
それが、今回のPVPで使われた『ビッグウェイブ』の言霊だ。あれのリスクは『MP全消費』『ゲーム内時間3時間・MP自動回復停止』『ゲーム内時間3時間・MP回復薬使用不可』『HP3分の2のダメージ』『ゲーム内時間・DfとMd半減』『状態以上・疲労発祥』だ。
ただ、性質の変化は恐ろしい。なんせ使用者のMaの3000倍の連続範囲攻撃なのだから。『根性』も使い物にならないから、決まれば一撃だろう。…………というか、リスクを知っていたという事は一回使った事があるのだろう。
「つ、つい試したくなってだな………。ただ、あれにもまだ改善の余地がありそうだったな。今度は『合成術』なにも阻まれないようにフレーズを加えるか……。」
「いや、さらにリスクが高まりそうなので止めておいた方が……………。」
リザがそう言ったためにヴァルツはレベルが上がってから考えるとこの場では諦めていた。…………レベルが上がったらやるつもりなのか…………と思ってしまった。
「そろそろあの弓について見てみない?気になって仕方ないから。PVPでは使われてなかったから。」
「……………見たら絶対に後悔しそうだけどなぁ………。」
そう思いながら私は元『幻矢の紫弓』だった武器を『鑑定』する。すると、予想通りというか確定していたというか……その性能はぶっ飛んでいた。
…………正直言って、あの『進化合成』の方がぶっ飛んでいたのか、それともヴァルツの『ビッグウェイブ』が強力だったのか……………。耐久値∞が当たり前のように鎮座しているのだった。




