暗雨視点 朝の流れ-5
その後、『ビルこれ』の話題の時に出ていた父親が病院の院長をしている鹿島 信幸と、多くの高級ホテルを経営している家の娘の夏峰 マリアが登校した後に、医学部志望の弓ヶ浜 輝と真野財閥の跡取りである真野 太一が登校してきた。
二人は撫宮の方を見た後に、撫宮が慕っている私の方に目を向け睨んでくる。しかし、私にとってその睨みは大した睨みでは無かった。いや、撫宮は渡さないとかいうわけでもないんだけど、睨みというか迫力が無いんだよなぁ………。
というか、撫宮が乙女ゲームの主人公ポジションだったのを私は知っている。現実でこんな事あるのか?と思うぐらいに色々な人間に恋されている。しかし、今の撫宮は性転換してでも私と結婚すると言いだしているのだ。
……………私は至ってノーマルなので丁寧キッパリとお断りしているのだが、撫宮に恋をしている男達は完全に私を敵視している。現実での経験から、面倒事には関わりたくないのだが、私は磁石とでも言うのだろうか?とも思う。
解決はできるが解決するまでが面倒だったり、関わってくる人間が面倒な人間というのが多いんだよなぁ………。VROでは何でもかんでもチートチート言う奴に、自分のクランに入れと五月蠅く、自分のやる事が全て正しいと決めつけるアミエスと、一部が本当のろくでなしな人間だったからなぁ……。
「真城………お前、また百合に何かしたのか?いつも以上に慕われてるじゃないか。」
「俺だっていたら逃がすことぐらいなら出来たんだがなぁ………………。」
真野も今日からVRO組なのはなんとなく分かっていたが、弓ヶ浜もどうやらそうらしい。………本人は受験勉強の息抜きだと言っているが、言動と視線から撫宮がプレイしているというのが彼がプレイする理由なのだろう。
「撫宮は偶然助けただけで、フレンド登録もしていないから。私はソロでやろうと思っているから。…………まぁ、クラン関連で色々あったけどね……。」
「そう言えばフレンド登録してないです!!兄さんが邪魔しなければ出来ていたはずです!!」
すると二人は義兄さんグッジョブ!!的なガッツポーズを心の中でしていた。いや、私も積極的にフレンドは増やそうとしていなかったからなぁ………。『ササンペルシャ』や『ドールカースト』、『インビジブル』のメンバーとは利害が一致したからだ。ただ、撫宮とフレンド登録するといらない苦労も背負い込みそうなので遠慮させてもらうというわけです。




