暗雨視点 朝の流れ-1
ログアウトした直後そのまま眠ったので、私はバイザーを取り外してから起きあがった。時刻は5時半であり、母が朝食を作っている時間だった。夕食は私が作ることが多いが、朝食は最低限の家事の一つとして母がやる事になっているのだ。
もっとも、前日の残りや予備を使うことも多いので、私が作ったとも言えてしまうのだが、それについては仕方のないと思う。まぁ、料理を作るのは私な事が多いけども母は掃除洗濯とかも軽くこなせる人間だからなぁ………廃人に近いゲーマーだけど。
なぜそこまでゲームに夢中になることが多いのに家事をする事ができるのかを聞いてみると、昔のラノベで一人暮らしのVRMMOプレイヤーがゲーム内と現実で同時に殺されるシーンで出てきた部屋と死体がトラウマになっているらしい。漫画からのトラウマって日常の中でかなり影響があるからなぁ……。
「おはよう、暗雨。他の皆はまだ起きないの?後、昨日はダーリンを置いてけぼりにしてたって事もあるわよ………なんでそんな事をしたの?」
「それについては母さん達が未だに新婚気分な所を治さない限り教えないというか自分で気付いてよ。」
私はそう言ってから弁当の支度を20分程でやってから、朝食を食べ終わった。その後、歯を磨いたり髪をとかしたり、顔を洗ったりして6時には高校の制服に着替え終わった。
だけど、この時間になってもまだ起きてこない雪ねぇと雫がいるため起こしてくる事にする。暁美ねぇに関してはまだ時間割的にまだ平気だし、父さんは今日休みだから問題はない。
「雫~、入るよ~。」
「…………今………着替え中………」
「そう?じゃあ着替え終わったらすぐに台所に来てね。」
「…………分かった。」
そういえば雫は朝食の前に制服に着替えるというタイプだった。私は朝食の後に着替えるため、起きたらすぐ来るというタイプだからなぁ…………。
しかし、三年ほど前に本を読みながら寝落ちして遅刻ギリギリまで寝ていた時期があった。その時に私が怒るよ?と警告しながら起こしたことがあり、それ以来雫は寝過ごすという事をしなくなった。
そう思いながら私は次に雪ねぇの部屋の前に立ってノックする。今度は返事がなく、中からすぅすぅと寝息が聞こえるのでまだ寝ているのだろう。私は静かにドアを開けた。
「すぅ………………………すぅ……………」
「雪ねぇ、朝だよ。そろそろ起きないと会社に間に合わないよ…………」
「……………すぅ…………すぅ………」
雪ねぇは母さんと同じ大きさの抱き枕に抱きつきながら寝ていた。母さんの姿がプリントされていたら普通の人なら引くだろうけれど、これまでの雪ねぇの抱き枕は全て単色の物なので、そこからの一線は越えていないことには安心する。
だって暁美ねぇは私と小梅さんがそれぞれプリントされたリバーシブルの抱き枕カバーを使用しているから…………。そこまでは行っていない事に安堵の息を付きながら私は雪ねぇを起こすのだった。




