豊音視点 兄?と私がVROを始めた理由-8
「ただいま~って、なんだ?父さんも母さんも何の広告見てんだ?」
…………人がシリアスな雰囲気を出しているのも気にせずに兄?本人が帰ってきました。まぁ、それが私の兄?である大寺 虎春なのですけど。
「お兄?ちゃん、お帰りなさい。…………今日は少し速かったですね。」
「………あぁ、ちょっと業者に入って貰ってキッチンの修理をな………。時給はそのまま、だが少し速く帰れたわけだが………豊音、お前はなんで兄の後にいつも?と疑問系にするんだ?俺は正真正銘男だろうが。」
兄?はそう言いますが、今の兄?の服装は中性的なシャツとズボンのため、男に見えるかと言えば、見えません。顔だけ見れば女性ですし、言葉を足すなら美少女という言葉が似合う顔です。
「…………何で疑わしい目で見てくるんだよ。俺と豊音は実の兄妹で何年一緒に生きていると思っているんだ?男女の見分けは付くだろ普通に考えれば。」
「そうですよね、お姉ちゃん!!」
「ちょっと待て!!何で兄の時は疑問系のくせに姉に変えたら迷いが吹っ切れてるんだよ!!」
そう言っている兄?は二年前からこんな感じになりました。いや、元からそうだったのか………もしくは、美少年が女装すると美少女になるという現象が起きているだけなのか、兄?は7Wildersから脱退した後から変わってしまいました。
面倒ごとになりたくないが、色々な理由で金を稼いでおきたいという事から、兄?はバイトを始める事を決意していました。お金を貯める理由の一つには、タイガとして活動してきた期間で父さんや母さんに使わせてしまったお金の返済などがあったらしいですけど。
だけど、あの騒動の後のために兄?は目立つというよりは、接客をするという事をしないでも良いバイト先を探していました。その結果、メイド喫茶の厨房でバイトする事を決めました。給料が一番良かったかららしいです。しかし………。
「でもお兄?ちゃんは目つきの鋭さを無くして髪を伸ばしてたから、男だから厨房だけを志望したはずなのに、女店長さんに接客の方もやってくれない?と頼まれるほどの美少女になったじゃ無いですか。」
「……………いや、確かにそうなんだが、それでも俺は女じゃなくて男だからな!!何回も言ってるけどさ!!父さんや母さんは俺の事が男だって分かっているよな?なぁ?」
しかし、両親も私と同意見ですので、返ってきた言葉は兄?に頭を抱えさせていました。
「えっ?あぁ、そうだよなぁ…………男としてアイドルしてたもんなぁ………。でも、それが無かったら女の子として見ていたかもなぁ?アイドルになっていた時だけ目が鋭かったんだから。でも七五三では男の娘と女の子バージョンの二つで撮って貰っているけどな。」
「……でも、虎春は私達の立派な息娘よ。」
「その子の字を娘の字に変えるなぁぁぁぁ!!!」
…………でも、中学一年から三年までの間にアイドルをやっていなかったら、兄?と呼ばずに姉となっていますよね………。そう思うくらい、兄?は美少女なのです。本人は認めたくないらしいですけどね。




