暗雨視点 スキルについての情報交換-4
デイブラックが気絶したのを見て、ラグナは私の尻尾にゆっくりと近付いていた。私は、ラグナなら大丈夫だろうという事で、尻尾をラグナの方へと動かした。
「…………結構…………毛並み………荒れてる………だから………やりがい………ある……」
「そうですか………。じゃあ、お願いします。」
そう言うと、ラグナは私の尻尾をブラッシングし始めた。その間に、ラグナともスキルについて話をしておく事にする。ラグナはバフやデバフ関連の管理をしているため、その辺の支援魔法についての情報が手に入ると思ったからだ。
「ラグナってバフやデバフを使っているって聞いているけど、『支援魔法』と何を使っているの?」
「バフには…………『支援魔法』と……『演奏術・フルート』を………使っている。………デバフは……『劣化魔法』……後、『演奏術・ヴァイオリン』など。」
話を聞くに、『支援魔法』はAtとDf、MaとMdとAlの五つに効果を出せるらしい。ただ、パーティーに入っているプレイヤーにしか使えないことが一種のデメリットらしい。
「でも………パーティーに……入って……貰えれば……ステータスが……かなり……底上げされる………から………パーティー………組みたい…時に……この……『支援魔法」を………アピール……すると……入れて……貰い……やすい。」
「そうなんですか……………。」
「VRO………では………『支援魔法』………地雷……じゃない……から………。」
しかし、DROでは初期の時点では地雷と呼ばれる程だったらしい。MPを結構使うくせに上昇値と継続時間が短いとかなんやらで…………。
「…………でも………楽器に………音楽に………乗せれば……効果……上がった……から……」
「それで二つの楽器も入れているんですね…………」
「フルート………は……手に……入った……けど……ヴァイオリン………は……まだ……βテストでは………リグル……で……手に……入った……けど……」
そう言いながらもラグナはブラッシングの手を休めることは無い。…………にしても、気持ちいい。現実世界では尻尾は無いの初めての感触だが、下手したら声が漏れそうだ。
「………まぁ………少し……したら……楽器屋を……探して……みる……。ロム………かなり……貯まった……から……。」
確かに、ロムは始まりの街であるリグルならば買えない物の方が少ないという額を稼いでいるのだ。ヴァイオリンくらいなら買うことができるだろう。
「『演奏術』は直接的な………バフやデバフじゃなくて……音色に………合わせた………効果……出せる……から……」
「なぜか某狩りゲームの笛を思い出すのは気のせいでしょうか……?」
「ヘイト……かなり……貯まる……のは……同じ……。」
あぁ、同じなんだ………と思いながら、私はブラッシングの心地良さから、眠気を誘われ、そのままうたた寝してしまった。………寝顔でデイブラックが暴走しなければ良いんだけどね………と思いながら。




