暗雨視点 インビジブル-5
私と『インビジブル』のメンバーが作業所に降りると、明夫とルラフが驚愕しましたというような表情になり、私とデイブラック達を交互に見ていた。
「………ま、まさか『インビジブル』………?DROで絶対無敵と言われていた………?」
「なんでそんな人達がここに…………?」
そこまで驚かれることだったのだろうか?とも思ってしまうのだけど、私が知らないだけで、かなり強いクランとして、DROで有名になっていたらしい。
その中でもデイブラックは防具だけ初期装備のままで突き進んでいるため、最早怪物とも呼ばれていたらしい。スピードブーストが弱いDROでも普通にボスを圧倒する実力なら、そう言われて当たり前だとは思うけどね……。
「………どんだけやりこんでたの?百合ゲーばかりやっている所しか見たことないんだけど………」
「……だって、ティアが新規で始めても良いようにやりこんでたのよ…………。どれだけやり込んでもプレイヤースキルではティアに適わないかもしれないけどしれないけどね………」
「……まぁ、あの時代の事を知っている私とデイブラックはそう思うけどな………。あのスレを見る限り、本来の武器は使用してないらしいが………」
ヴァルツにそう言われた私は、何のことかなぁ~と目を逸らした。知らない人から見たら分からないかもしれないが、知っている人達からは、私が使い慣れていない武器を使っていると思われているのだろう。
………まぁ、私はVRO内で本来の武器を使うつもりは無いしなぁ………。一部は使っているけど、目立ってはいないはず………。いや、印象には残るような形ではあるかなぁ………。
「ティアはそこまでの実力者なのでしょうか………?」
「高校に入った途端にその片鱗が無くなっていたからな……。ヤマトは知らなくても仕方ない。あの時のティアとまともに相手できるのは私の姉さんぐらいしか思いつかない。」
……………まぁ、昔の事を知られても困ることは無いような、あるようなという感覚なのだけど、ヤマト先輩にはあまり聞かれたくは無い。…………しかし、ヴァルツの姉から話を聞いてしまうかもしれないしなぁ………。
「そんな事よりも、クエストをクリアしてしまいましょう?」
「そうだな…………じゃあ、私はこれとこれにするか。『錬金術』は持っているからな。」
そして、ラグナやリーフもそれぞれ出来るクエストを手にとって作業所に向かった。私も『錬金術』は試したいとは思うのだけど、失敗して素材を取りに行くという事が無いようにするため、経験者らしいヴァルツさんに任せて、『調薬』での『MP回復薬』の製作に取りかかるのだった。




