暗雨視点 ササンペルシャ-5
壁には大量のクエストの紙があるが、ランクは一番高いものでも必要ランクがEランクと、対したものではないのだが量が多い。とにかく多いといった印象だった。
まぁ、下手したら千を優に越えている気もするが、納品する数は10程の物ばかりなため、『鍛冶』系の物ならすぐ終わるだろう。『タガーナイフ』でも一回で60も作れたのだから、一個の『鉄鉱石』でクエスト何個かクリアできるかとも思えるほどだ。
ちなみに、『ササンペルシャ』のメンバーの生産スキルは、以下の通りとなっている。アザネは生産職のため、初期スキルは『鍛冶』『調薬』『裁縫』『木工』『料理』の五つで、明夫が『鍛冶』、リュグルが『調薬』、ルラフが『木工』を修得しており、ここにはいないがリザは『裁縫』を修得しているらしい。
簡単な理由としては、今日みたいに狩り場が満員な時に経験値をプールさせておく事と、アザネの負担を減らすために一応取っているらしい。もっとも、サブスキル枠で取ったために成功率は低いのだけど。
当初は『ササンペルシャ』に入る予定では無かったのだが、ロザリーは偶然『料理』を修得しており、『ササンペルシャ』の形が決まってきているなぁ………と思う私なのであった。
そんなわけで私は『釘』や画鋲の納品クエストを手に取って朝丸に次々と納品達成の作業をしてもらう。その過程で『鉄鉱石』を沢山貰ったが、これもすぐにクエスト用に使っていくため、『鍛冶』系の作業をしようと思ったのだけども、『合成術』のクエストが見えたのでそちらを先に取る。
『ササンペルシャ』のメンバーも、多少の失敗はしているが、次々と納品していく。しかし、ゲーム内時間で4時間程やってようやく四分の一のクエストの紙が片付いた。しかし、このままだと終わる気配が無い。
「…………………仕方ない。正直呼んだら逆に私の作業効率は悪くなるかもしれないけど、全体の効率を上げるためなら仕方ないか………。」
私がそう思いながら、アカウントフレンドのある人物に手を伸ばそうとした時、商業ギルドの扉が開く。入り口の方に目を向けると、そこにはメイド服………つまりティグレがいた。
「ここが、商業ギルドか…………色々と素材買ってたら遅くなった…………って、お前等なにやってるんだ?」
「丁度良いところに!!ティグレもクエストの消費手伝って!!出来ないなら別に良いけど、できるなら!!」
「………………まぁ、クエスト受けに来たんだしなぁ………。『裁縫』と『装飾』系ならやってやれるからな。」
じゃあ『装飾』をメインにと頼みつつ、私は諸刃の剣である人を要請する。個人でこなければいいんだけどね………。別のVRMMOで建ててたクランをこのVROでも建てると言っていたから、多分そのメンバーの方々も来てくれる。そう思いながら、私はデイブラックにフレンドコールをするのだった。




