暗雨視点 鍛冶実験-2
次に試そうと思ったのは、柔らかい武器であるが、もう一回『鎖』を作る。前回は長さをイメージしていなかったので、今回はパーツを1メートル程にイメージして作ってみる。
すると、イメージ通りに1メートルの鎖が三本出来た。しかし、パーツの両端だけは3.5センチと、無理矢理1メートルした感じもあったが、成功したので良いことにする。
『鎖』の検証が終わったので、次に作る柔らかい物を何にするかを決めることにした。…………そして思いついたのは糸である。罠師になりたいわけでは無いが、鉄で出来た糸はいくらでも使い道はあるからだ。
だけど、ここで失敗が多く続くことに私は気づかなかった。なんせ、糸というか、鉄糸的な名前の物を作ろうとしていたのにこの10回で出来たのは『針金』だった。
『針金』も十分細いのだけど、私としては満足していない。しかし、出来るのはどうしても『針金』だ。自動生成となっているため、工程の中でどこが間違っているのかとか、改善すべきなのかが分からなかった。
糸みたいに細く、しなやかに動く物を作る事は誰もやっていない、もしくは企業秘密として隠しているのか、スレ板には何も情報が無かった。あったとしたら、レイピアのように細い剣くらいなら作業用ハンマーで作れたという報告ばかりだ。
『針』の様に細長いだけの物なら作業用ハンマーで出来るのは分かるが、糸だけは手に入りそうに無いのだろう………。そう思いながらスレをズラーッとスライドして見る。
流し読みでスレを見続けていると、ロムを貯めて『中級鍛冶セット』を手に入れた人がその中身のスクリーンショットを公開しているのを発見した。そこには、初級よりも上質なハンマーやらがあったが、一つだけ新しい物が入っていた。
スレの中でも何に使うのか分からないと書かれている、ニッパーである。……………しかし、私はそれを見て、これだ!!と思い、ニッパーを作成してみる。
元々ニッパーというのは針金を切るための物なのだけど、作るのにも、あの自動生成なら使えるかもしれないと思いながら、『鉄鉱石』を『全鉄製のニッパー』を作り出した。
この『全鉄製のニッパー』にはAt増加の効力が無かったが、代わりにDeが20増加するという物になっていた。……………まぁ、あくまで実験用に作ったものだしなぁ…………と思いながら、私は別の『鉄鉱石』を取り出して、リベンジを開始するのだった。
……………その後、気付かぬ内に習慣となってしまっていた作業用ハンマーで叩いて作ろうとニッパーを放り出してしまったので、反省しながら改めてリベンジ宣言したのは言うまでもなかったのだけど。




