優視点 マタンゴ族です-6
「……そういえばOWOは面白いか?」
「面白いですよ。昨日は本当に濃いプレイでした。」
「それは良かった。ただ、このOWOはよりリアルな世界が舞台である事を忘れない様にな。」
澪さんがそう言うと、紫さんが質問していました。リアルタイムで事が進むゲームは沢山あり、VRMMOでもリアルタイムで色々な事が起こるのは普通だと話していました。
「……まぁ、確かに現実世界の時間に連動したゲームは存在するが……OWOはより現実に近づけた結果、放りっぱなしという事が出来なくなっているんだよ。これまではキークエストが発生してからというか選択可能になってからはどれだけ時間が経過しても状況が変わらず、承認してようやく動く様な物だったんだが……今回のOWOはそんなタイムストッパー機能すら搭載していないんだよ。」
クエスト始まるまでずっと逃げ回っていてなんとかなってましたというシチュエーションはかなり多いと妄想された事が多かったそうです。とある擬似戦争物では必死に逃げて隠れていますので速く助けに来てくださいという訴えをレベル上げのために何日も経過させたとしても生き残っています……という事が主な内容でした。
「実際あの森も基本はリアルタイムだけどやろうと思えば好きなだけ時間操作できたからなぁ……。スマートフォンに移った後は知らないけど……。」
「時間操作ってデメリット多くなかったですか?」
「イベントを気にしなければなんとも無い。だけど基本は金稼ぎの為に延々と果物と蜂と化石と宝石を集めてたと知り合いに聞いたことがあるよ。」
他にもゲームの中で時間経過するゲームもありました。最初は主にモンスターの出現条件と進化条件にのみ連動していました。ただ、セーブデータと常に使われる電池を時計の電池と連動させてしまったせいでセーブできなくなる悲しい出来事もあり、リメイクが出るまでもそこそこ長かったので現役時代の人は大変だったんだなぁと感じるのでした。
「……まぁ、時間経過で色々とイベントが出来る様になるが、このゲームでは時間経過を意識しないと破滅する可能性もあるから気をつけろよ?」
「分かっていますよ。宿題をある程度進めてからやりますから。」
「そうだな。そっちの時間経過についてもちゃんとしなきゃな。というわけだ。私は仕事するからおとなしくしてるんだぞ~。」
澪さんはそう言いながら仕事部屋としている部屋へと向かっていきました。ただこの時の私は忘れていました。VRMMOのゲームでよりリアルタイムにイベントが進む事に加え、現実世界よりも早く時が進んでいくことに……。あのクエストを後回しにしてしまった私を呪いたいと思いながらも私は午前の宿題ノルマを達成してからログインするのでした。




