暗雨視点 VS 空組-2
「あぁ、なんで邪魔するんですか?僕のアイコンがオレンジになっちゃうじゃないですか?それとも、ゲームの中で何回も死にたいんですか?」
「うっせーな…………この、外道が………。」
「外道?何でそこまで僕の事を悪者にしたいんですか?僕は至って普通の優しいCMですよ。」
そう言いながら、アミエスはオレンジになったアイコンをさらに赤く染めようとするかの様に、明夫、リュグル、フェングニスの三人を手に持った剣で切りつける。何回も、何回も斬りつける内に、等々アイコンは赤になっていった。
「なんて事するんですかね?運営は?僕は彼?をクランに入れるために真っ当な行動をしているはずなのに………なんでこの胡散臭いクランの屑どもの味方をするんでしょう?」
「…………だからですよ。そちらが外道という言葉で汚染された偽善だって運営も分かってい………ゴハッ!!」
「うるさいですよ…………僕は善なんです。なのにどうして僕は!!いつも!!悪者扱いなんですか!!」
アミエスはリュグルを何回も何回も斬りつける。アミエスのアイコンはそれに応じて徐々に赤くなり、ついには犯罪者プレイヤーとなっていた。だが、アミエスは剣を振るのを止めなかった。
「…………しかしよぉ、アミエス。武器だけで威張っている気分はどうなんだろうなぁ?お前がクランを作った時は大したクランでは無い、『アンチDP』がとても有名だった。そんな中で『空組』の地位を押し上げた、βテスト内で最強の剣を、この場で使っている気分はどうなんだ?」
「もちろん、あなた方の様な屑の集まる胡散臭いクランから、将来有望なプレイヤーを保護するために神が与えた剣ですよ!!」
……………βテスト時代最強の武器を正式版に引き継いだ?そんな事が可能なのか?と思っていると、どうやらその剣以外のアイテムを持たずにいたら、引き継ぎのアイテムとして手に入ったという。
そして、その剣の性能は…………正直、始まりの街で手に入る方がおかしいぐらいのぶっ飛んだ性能だった。私の持っている武器でも+25あたりが最大なので、その性能の違いが分かるだろう。
『神光剣・ワルキューレ』
・属性 光
・At + 1000 光属性アーツ威力 + 120%
・耐久値 85600/100000
・神の加護そのものである光の剣。その光はどの様な闇でも祓うと言われている。邪悪とされている魔物に触れると、魔物の心ごと灰燼に帰すという噂がある。
……………そんな武器を持っていたら、確かに強い力を持っているクランだという箔は付くだろう。だが、私はあの剣は持ち主を間違えたな…………と思ってしまう。偽善者の皮を被った外道ほど、大きすぎる力を持った時に厄介な者はいないのだから。




