Book forest
新しい作品です。よろしくお願いします
この国はとても豊かだ。そして、とても平和だ。
俺はそう思いながら、街を歩いていた
この大きい店通りを右に曲がり、そしてしばらく歩いて突き当りをまた右に。
今日行くのは、王からの指令で「街店の視察」らしい。1軒1軒店を見なきゃいけないのが面倒くさい。っといっても、そんなのとっくに1カ月前に済んだ話だ。どうやら1軒見ていないのがあったらしい。今からその店を見に行かなくちゃいけない
まぁ、一軒だけだ。それで仕事が終わる。
そんな風に考えていると、茶色い木の家が現れた。
看板には「Book forest」、本の森と書いてあり、屋根からはランプが吊るしてある。外から見える店内は少し明かりがあり、薄暗い。
ドアに手を掛けると、ドアノブはギリッと音をたて回った。少し錆びている。
「こんにちは」
そう言って店の中に入った。それと同時に本の匂いが体を包み込む。ドアに付いているベルは揺れるだけで音はならない。これじゃ、意味がない
しばらく待っても返事がない。留守なのだろうか。
あたりを見回すと、本棚が天井まであり、そこに入りきらなかった本はそのまま床においてある状態だった。
「すいません!」
そして、もう一度声を出した。
スタ、スタとスリッパを引き擦りながら店の奥から誰かが近づいてくる。おそらく店の奴だろう。
「ん...いらっしゃいませー...」
「あぁ、君ね。この店どうなって...」
俺の前に遅れてきた女の店員は、長い袖のシャツを着ていた。服はダボダボで肩が片方見えている。中の黒い下着も見え、おまけにスカートもズボンも履かず、パンツが見えている。そして、ニーハイ。シャツが大きいおかげでパンツがギリ見えなくなっていた。
「き、君!なんだ、その恰好は!」
俺は慌てて顔を隠した。
「何の本をお探しですかー...?」
質問に答えなかったそいつは、大きい丸メガネでショートカットだった。目はボーっとして面倒くさそうな顔をしている。首にホクロがあり、少し色気がある。
「っ...ごほんっ。えぇ、私は王の命により街の店の視察で参った。少し見させてもらう!」
目をそらしながら言った俺は少しだけ、女にピントを合わせた。
女は、俺を見て、「へぇ。そうなんだ」ぐらいの顔をしていた。
「...わかりました。ごゆっくりどうぞ」
女はそういいながら、レジであろう所の椅子に座りじっと俺を見ていた。
いったい何なんだこの女。
そして、店の中を見て回った。
読んでいただきありがとうございました!